第6話 一章①『神災―カミノワザワイ―』
〝
ただし、これはどちらが先かというのは現段階では解明はされておらず、禍神によって神災が引き起こされるのか、それとも神災が起きる場所に禍神が現れるのかも分かっていない。
ただ分かっていることは一つ。
そんな最悪な災厄を目にした百鬼洸太朗は人生で二度目だった。
初めては十年前、そして今その光景が眼前に広がっていく。
「っ―――――――――――」
呼吸が乱れる。
この十年で少しは強くなったと思い込んでいたが、やはり災厄を目の当たりにすると身体が思ったように動かない。
「だ、いじょう、ぶ」
自分に言い聞かせる。
師匠の教えを思い出す様に頭の中で反芻していく。
呼吸を整え、ゆっくりと周りを見渡す。
ぐにゃりと歪んだ空間はまだ景色を変換させていない。
「ふぅ……………よし」
気分を落ち着かせ、洸太朗は改めて周囲を観察することにした。
「まだ
とにかく洸太朗はその辺に転がっている不良を片っ端から引きずるように運び始める。
神災には
これは神災の
「クソッ! こいつら自分で動けよッ」
洸太朗が気絶させたのにも関わらず理不尽な怒りをぶつけていたが、決して見殺しにはさせない。
十人全員をとりあえず固めると次に洸太朗は携帯である場所に連絡をした。
三つのダイヤルを回すとコール音が一回目で相手に繋がった。
『はい、こちら神災対策本部です。どうされましたか?』
「すいません…………今神災に巻き込まれて」
洸太朗が掛けた番号は特殊ダイヤル『神災対策本部』であり。警察、救急消防時報に次ぐダイヤルでもあった。
『はい、では落ち着いてください。すぐに隊員を向かわせます。巻き込まれた人数は? 場所はどこですか? フェーズは? 他に気なった所は?』
その質問に、
自分を含め十一人。
場所は町から少し離れた廃工場。
今はまだ初期神災です。
まだ神災だけで禍神はまだ現れてません。
そんなやり取りをしていた時だった。
ズンッ! と地響きのような音が鳴り響く。
「―――――――――――クソッ」
最悪のタイミングだった。
通話の向こうではどうかしたかという返事があったが、洸太朗にはそれに悠長に応える余裕がなくなった。
「すんません、出来るだけ早く来てもらっていいですか?」
洸太朗は立ち上がり音が鳴った方へと睨みつけるような視線を送る。
「来やがった―――――――――――『禍神』ッッッ!!」
彼の視線の先には異形の化け物が姿を現していた。
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