第2話 序章②『この世界の日常』

 『続いてのニュースです。先日都内で起きた『神災しんさい』での死傷者は数十人にも及んでおり、政府関係者は会見を開きました』



 朝から気の重たくなるニュースを百鬼洸太朗なきりこうたろうは味気ないパンを齧りながら見ていた。

 映像では現場が映し出されており、そこでは現場で被害者の親族や友人などが涙を流して手を合わせている。

 『神災』――――――――――それは世界に突如として出現した禍神マガツガミと呼ばれる異形の化け物が引き起こす災害の名称だった。

 人々に害を成す禍神は通常の兵器では全く歯が立たなく、半世紀前に開発された『災禍狩具ギア・デヴァイス』と呼ばれる魔導兵器で対応出来るようになるまでかなりの被害が出たというのが今の世界での常識だった。

 それでもこの世界は悲劇に満ちている。

 そんな『災禍狩具すごいもの』を造れても被害は少なくならずに増える一方というのが現状だ。

 原因の一つが『神災』、もしくは『禍神』の脅威が想像以上という点である。

 確かに対策は出来ていても、相手は未知の怪物。人知を超えた現象だ。だからこそのだ。

 そしてもう一つが圧倒的に人員不足という点だ。

 この『災禍狩具』を扱える人材は少ない。

 それこそ陰陽師の末裔だとか、魔術師や法力僧など特別な力を持つ者以外は滅多に扱えるような代物ではないらしい。

 一般兵器化されたものもあるそうだが、量産型では威力は格段に落ちると評判なので対策としては弱いのが現状だった。

 「ホント、いつまでたっても慣れねぇよなぁ」

 洸太朗はそう呟き時計に目をやるとそろそろ登校の時間だという事に気付いた。

 やべっ、と小さく呟くと居間に置いてある仏壇に手を合わせ、

 「行ってきます」

 そう言い置いてあった学校指定の鞄を手に取り家を出た。

 彼が去った後の部屋は静寂だけが残っていた。

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