第6話 会敵
距離を措いて、林の中からこちらの様子を伺っていた敵の姿が現れる。
今度は熊だ。
故郷にもそれとは少し違ってはいたが、似たような生き物はいた。
ずんぐりとした体は、黒々としてごつい体毛に覆われ、生えた太い手足は野生のパワーを示し、するどく長い爪がその生き物の攻撃性を示す。
力を誇示するかのように立ち上がる。体長は3メートルくらいありそうだ。
単純な肉体だけの勝負ではかなう相手ではない。
こういう場合は強力な武器の力で圧倒し、でさっさと片付けるに限る。
能力だけでも戦えなくはないが、武器がある事に越したことは無いし、能力を使ったとしても傷を負う可能性はある。
予想はしていたが、こちらが嫌がっている事を察知すると威嚇するように吠えて、こちらに突っ込んできた。
奴があの爪で攻撃してくる前に仕留めたい。格闘なんかごめんだ。
急いでポッドの瓦礫に戻り、潜り込んで防衝撃コンテナを開け武器を取る。
古代の単純な構造の、火薬を使ったカートリッジ式のボルトアクション小銃である。対物仕様の超鋼に覆われた鉛弾が弾倉に込められている。
頑丈な作りの為、ポッドが墜落した状況でも壊れていない確率が高いのが選んだ理由だ。
熊が背後から迫る。まだ攻撃を受ける距離ではないが、もう目の前だ。
格闘になる場合は、壁にかかった背嚢にレーザーソードで応戦する。
瓦礫で逃げ場のないポッドの中からだが、構えながら弾を薬室へ装填し、胸部へ狙いをつける。
照準器がノーマルの為、精度は低くなるがこの距離では十分だ。
トリガーを絞り、発射。大きな反動があるが、弾丸が正確に熊の心臓を破壊した。
続けて狙いをつける。
頭部へ発射。
もう一発は少しずれて右目に当たる。
しかし、それだけでは体の大きな熊の勢いは止まらなかった。
頭と胸を破壊され死んでいたが、慣性だけで突っ込んでくる。
そして2・3歩の距離を、倒れ込みながらポッドの破片に突っ込んだ。
破片が代わりにふっ飛んできて避けなければならなかったが、脅威は去った。
周りの敵性生物はいないようだったが、代わりに先ほどの獣がやってくる。
私は警戒したが、攻撃的な姿勢を見せず、ゆっくりと近寄ってくる。
獣は熊の手前で様子を伺ってから、再び首辺りを噛み確実に葬る動きを見せ、確実に事切れているのを知ると、腹を食い破る。
あ。
そっちは食うんだ。
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