第10話 悪夢
突然、私はすざまじい寒気と、倦怠感、痛みを覚えて道端に倒れこんだ。 身体が思うように動かなくなって、頭もひどく痛くなった。
「う・・・・うううう・・・・い・・・・たい 痛い・・・・うわああああああああああああああああああああああああああああああ!?!?!?!?」
余りの辛さに、私はその場でのたうちまわっていた。 頭が回らない。動くことが出来ない。 どうすることもできない。ただただ痛みに支配されていた。
「おい、とわ! 大丈夫か!?!? おい、しっかりしろ! お父ちゃんがおぶってってやるからな! 家まで耐えろ!」
私が呻き苦しんでるのに気づいた、家族がすぐにこちらに駆け寄ってくれて、私は何とかお父さんにおぶってもらって神社に帰ってくることが出来た。
高熱にうなされる私は、すぐに布団に寝かされ、姉弟や両親に看病をしてもらいながら、なんとか命を繋いでもらっていた。
そして、私は何か月もの間ずっと苦しみ続け、悪夢を見続けた。
ガサガサと砂嵐のようなボヤけた景色の中見えた、今までの私の人生。
生まれてから、小さい頃お父さん、お母さんに世話をしてもらったり、遊んでもらった時の記憶、弟たち、妹たちが生まれた時の事、喧嘩して、でも仲直りして一緒に野に山に遊びに行ったときの記憶。 そして、みんなで妖怪を討伐しに行った時の記憶。
呪術や、時に武器を使って、並み居る様々な妖怪たちと激闘をしている時の様子が鮮明に浮かび上がってきた。 皆で頑張って、森の脅威をやっつけて、森に住む人々に喜んでもらっているところ。
・・・・そしてあの日、敵の返り血を浴びて、視界が一瞬赤黒くなった時の様子。
それがフラッシュバックした瞬間、突然また私の頭にピキンっとした鋭い痛みが走った。
「ヴ・・・・うううううう・・・・・・・」
再び呻きながら、痛みに悶えていると、何故か見えるはずのない将来の景色・・・・いや、幻想が見えた。
私の栗色の髪の毛がジリジリと音を立てて、雪のように真っ白い、無を表すような白色に染まっていく様子、周りの人々が、時空のゆがみに揉まれて、次々と私を置いて何処かに行ってしまう様子。 ・・・・そして、私が一人ぼっちになってしまう様子。
いやだ、まだ話したいことだって山ほどあるのに、伝えたいことだって、遊びたいことだってあるのに。 やめて。こんな夢から早く覚めて。お願い。
・・・・ひたすらに夢の中でそんなことを念じていたからなのか、私はその夢を見てからしばらくして、やっと瞼をゆっくりと開けると、そこには、見慣れた家の屋根、そして家族みんなの顔が見えた。
「・・・・あああああ・・・・やっと夢から出てこれた・・・・」
そんな言葉を思わず私は発してしまった。 そして、家族たちも目を覚ました私を、目に涙を浮かべて、目を覚ました私をギュッと手を優しく握って出迎えてくれた。
やっと大好きなみんなのいる世界に戻ってこれて、これで平穏な日々に戻れるって、その時は思っていたの。
でも、その後家族とお医者様から、私の身体の不調の原因を聞いて、私は愕然としてしまったの。
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