第9話 私の生きてきた道
今から三百年ほど前の話です。私は、深い山の中にある神社の長女として生まれました。
家族は六人。お父さんとお母さん、弟が二人に妹が一人。 とってもにぎやかな家族でした。
深い山奥にあるから、訪れてくれる人は決して多くはなかったけれど、それでもこの森の神様を信仰してくれる人たちはしっかりといて、いつもそんな人たちに支えられていました。
年始の初詣に始まり、十三参りだったり、七五三だったり、結婚式だったり、大晦日だったり。
色んな行事を家族みんなでやって、色んな人の人生や門出に関われたのは、本当に楽しかったし、本当に誇りに思っていたの。
そして、私たちには普段の奉職の他にも、もう一つ仕事があったの。
・・・・それは、神々たちや、この森の平穏を脅かす妖怪と戦う事。
昔、私がまだ家族たちと一緒にいた頃はあそこの山には妖怪が山のようにいたの。妖怪は、多分あなたが連想しているようなものと、大体は同じものね。 この世にはおおよそいるとは思えないような異能力と奇妙な容姿を持つ、怪しい生き物の事ね。
この森は、人里離れたところにあるという事もあり沢山の妖怪が潜んでいて、夜中人里に現れては畑を荒らしたり、村の建物を破壊して回るような妖怪もいたし、最悪一家全員を皆殺しにするような邪悪な妖怪もいたの。
だから私たちは、そんな厄介者が下の村に降りていく前に討伐する役割を担ってもいたの。
いつも六人揃って、武器を揃えて呪術を駆使して、妖怪らをやっつける・・・・。
化け物とは言え、動いて意思を持っていたものを討つのは、最初は凄く抵抗があったけれど、いつしか慣れてちょっとした妖怪なら、サラッと倒せるくらいにまでにはなって、むしろちょっと楽しくなってきたように感じてきたくらいになってたの。
でも、そんな意識が生まれてきた頃の事だったわ。
ある時、私と家族で、いつもの様に森で討伐を終えて、神社に向かって歩いて戻ってた時の事だった。
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