第115話 分かり合えることは奇跡に近い

自分は時々、一回り、二回り下の子たちとアニメの話をすることがあります。


今は配信サイトがたくさんある時代。自分がリアルタイムで見ていたアニメを下の世代の子たちが配信で見ている、ということも多々あります。


そういう場面に出くわした時、おっさんの自分としては「あのアニメ(例えば『コードギアス』『攻殻機動隊』)面白よね!」と自分の感動を下の世代の子たちとなんとか共有しようとします。しかし、上手くいきません。逆に下の世代の子たちが面白いと思うアニメ(例えば『鬼滅の刃』『転生したらスライムだった件』)に対しても同じ感動を共有できません。


お互い、面白いとは思うけど感動は共有できない。多感な時期にリアルタイムで見ているからこそ刺さるものがあるというのは真理ですね。見方を変えれば世代というのが大きな壁だということだと思います。


そして上記の出来事を通じて、『かがみの孤城』で辻村深月さんが本屋大賞を受賞した時、前年『蜜蜂と遠雷』で同賞を受賞した恩田陸さんがプレゼンターとして登壇し、


「最高のタイミングで最高の文章を書いていただけるかってことは、とても難しいことだと思います。ですがこの両者がいいタイミングで出会うのは本当に幸せなこと」


とスピーチした場面を思い出しました。


「最高のタイミングで最高の文章を書く」というところが「多感な時期にタイムリーなアニメを見る」と重なり、それが「最高の幸せ」につながっていく。


…ちょっとこじつけすぎですね。


とにかく、そんな最高の「アニメの視聴体験」だからこそ、共有しづらいって一面があるのかも。自分にとって最高のアニメが他人にとって最高であるとは限らない。その逆も然り。


むしろ、最高に思えたアニメが同じだったら、そして最高の幸せを分かり合えたのなら、それは本屋大賞受賞という奇跡にも似た出来事なのかもしれません。


そんな同志とも思える人を大切にしましょう! といい具合のオチで今回の備忘録を終えたいと思います。


蛇足ですが、最高のタイミングで最高の文章を書いて新人賞を受賞したい…。本当に蛇足でした…。


ここまでお読み頂き、ありがとうございます。

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