第112話 ゲームのシナリオライターに求められること

前回に続き、ディレクターから頂いたフィードバックからの引用です。ディレクターは何冊も小説を出し、有名なゲームタイトルのシナリオにも携わった人です。前回の続きなのでよかったら、前回の備忘録も見て頂けたら思います。


『ゲームのシナリオライターが本来、求められるのはこうした前提も考慮しつつ、いかに「スムーズにゲームを遊んでもらえるようなテキストを作る」かという能力になります。


面白い物語を書くことや、魅力的なキャラクターを作ることももちろん大事なことですが、それはゲーム専門のライターではない、小説家や漫画家にもできることです。

しかし、有名な小説家や漫画家がシナリオを担当したという触れ込みでシナリオが優れていたというゲームを私はほとんど知りません。それは彼らがゲームテキストの専門家ではないからです。ゲームに最適化した物語を構築できて、初めてゲームのシナリオライターだと言えます。


極論を言ってしまえば、ゲームのシナリオには画期的なプロットや斬新なキャラクターは必要ありません。ゲームシナリオは、ゲームを円滑に楽しくプレイしてもらうための手段であって、シナリオそれ自体で完結するコンテンツではないのです。


だからこそ、「面白いけどこの話は没」ということや、「いいキャラだけど使えない」ということも起こります。ほとんどのスマホアプリはアドベンチャーパートとゲーム部分が基本的に乖離しており、その事が実感できにくい部分がありますが、その思想こそがゲームシナリオに最も大事なものだという認識を強く持って今後も励んでいただけたらと思います。』


ゲームのシナリオライターに求めるられるのは「スムーズにゲームを遊んでもらえるようなテキストを作る」こと。逆に「画期的なプロットや斬新なキャラクターは必要」ない…。


シナリオに携わってから3年。割と上記に共感しています。小説新人賞に投稿していた身としては、とにかくゲームシナリオと小説は違う。これに尽きますね。ノベルゲームなら小説に近いところがあるかもしれませんが、それでも両者の前提は異なります。ゲームをプレイする人はゲームを楽しむことを目的とし、小説を読む人は物語を楽しむことを目的とする。物語に対する姿勢が全く違うんですね。時に画期的な設定やキャラはゲームを進める上で妨げるとなる可能性がある。そういうことをディレクターは言いたいのだと思います。


ドラマと映画ともゲームは違いますもんね…。ドラマや映画はセリフが文字として表現されませんが、ゲームはセリフが文字として表示されます。「FFⅦ リバース」のムービーシーンでもセリフはボイスと一緒にセリフが表示されてますし、そういった意味で文芸的ではあるけど、絵や音があるという点で小説とはまた違う。う~ん…難しい…。


ともあれ、何が正解かわかりませんが、わかりやすい物語と読みやすいセリフを心掛け、シナリオを書いていきたいと思います。


お読み頂き、ありがとうございます。

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