第94話 資料を味方にする
今回は資料について取り上げます。
物語を考える際、ジャンルによっては資料が必要になる場合があると思います。歴史小説、時代小説などは資料なしには書けないでしょう。警察モノ、弁護士モノ、医療モノなど専門的な知識が前提となるものそうだと思います。ファンタジーといっても中世ヨーロッパ風の世界観なら、専門的なレベルでなくてもネットで拾える知識は必要なのかな、と思います。
自分が好きなラノベ『狼と香辛料』は約30冊の資料をベースにしてできているそうです。作者の支倉凍砂さんがブログでそう記載していました(今は諸事情あって更新されていませんが…)。
実は自分、資料の扱い方について支倉凍砂さんにウェブラジオを通して質問したことがあります。大昔にあるウェブラジオの番組があって支倉凍砂さんが出演するということでダメ元で質問を送ってみたところ、なんとそれが採用されたという奇跡が起こりました。いや~興奮しましたね! その回は何回も聞きました。
「資料はどのように扱ってます?」と司会者が聞くと支倉凍砂さんは「そのまま使ってますね」と返答。ざっくりいうと資料を読み、物語で使えそうなエピソードがあると、そこにそのまま起承転結を当てはめることだそうです。
その答えを聞き、自分は「そんなんでいいんだ」という感想を持ちました。自分が想定していたのは「たくさんの資料を読み込み、そこから苦労して物語を生み出す」みたいな答えでした。もちろん、支倉凍砂さんの答えは資料を使えば簡単に物語が出来上がる、という意味ではないでしょう。けれども自分の力で物語をゼロベースからひねり出してはいない。資料に頼って物語を作っており、その度合いが想像以上だった、という感想が今でも残ってます。
資料選びについても役立つアドバイスを頂きました。資料選びで大事なことは、立ち読みでパラパラと資料を読み、数ページに一か所以上マーカーを引きたいところが出てくるかどうか、ということだそうです。というのは、数ページに興味を引く箇所が何か所かあるなら全体を通じて役立つことがたくさん書かれているだろう、と推測が立つからだそです。そういった意味でいうと資料の目的というのは、知識の蓄積ではなく材料探しに近いのかもしれません(知識の蓄積を目的とすると資料読むのけっこうつらいかも…)。
資料によっては情報の羅列で終わるものもあれば(これはつまらない…)、きちんと考察がなされて面白いと思えるものもあります。
支倉凍砂さんは中世ヨーロッパ関係で断トツにわかりやすい資料に阿部謹也氏(すでに亡くなられている)の著作を挙げていました。自分も何冊が読みましたが、本当にわかりやすく、なによりものすごく面白かったです。専門書なんですけど、興奮しながら読んだことを覚えています。ほんとこれ、まんま使えるよなというエピソードがたくさんありました。
他にも色々と資料について述べていましたが、分量的にいいころ合いのここらへんにしたいと思います。
おまけとして書きますが、資料を使わないラノベ作家はけっこういるのだとか…。必要の有無は別にして資料を味方にすればより良い物語が作れるかも…? 新人賞とかで有利に立てる…?
ここまでお読み頂き、ありがとうございます。
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