第10話 スクリプト(演出)から見たシナリオの良し悪し
実は自分はシナリオだけではなくスクリプトの仕事もやってます。ゲーム会社のスクリプトとは演出のこと。
具体的に言うと、シナリオをベースに与えられた素材(BGM、背景、キャラの立ち絵、キャラの表情、テキストウィンドウ、効果音、スチルなど)を組み合わせて動画を作っていくのがスクリプトの作業内容です。
で、ここからが本題なのですがスクリプトの仕事をやってるとシナリオの良し悪しがわかります。その良し悪しの基準というのはセリフと演出指示がマッチしているかどうかです。
例えば、
①
SE(足音)
A入場
A「ふう、疲れたな…」
②
SE(足音)
A入場
A「ふう、やっと町についた。疲れたな…」
だと①と②、どちらがわかりやすい画面が出来上がるというと②になります。足音の効果音に対して「やっと町についた」とセリフがマッチしているからです。①でもわからなくてはないですが、理解するのに若干のエネルギーを要します。
ほかにも、
SE(攻撃音)
A「まだやれるぞ…」
より、
SE(攻撃音)
A「ぐっ! まだやれるぞ…」
と「ぐっ!」のセリフを加えるだけで攻撃を受けてもまだ戦う気がAにはある、とキャラの心情が伝わりやすくなると思います。
またスクリプトをやっていて困惑することも多々あります。
展開が矛盾しているシナリオ。「あっちを探してみる!」と言って一度Aのキャラから離れたBなのに「でもさ、おかしくない?」とシレっとAの傍に戻って来て質問しているB。いつも戻ってきたの?と首を傾げたことを覚えています。
やたら戦闘演出が入っているシナリオ。AとBが戦っているのはわかるのですが、決着をつけるまでにSE(攻撃音)をバンバン入れて、立ち絵の移動の指示もバンバン入れてあるシナリオのスクリプトは苦労しました…。ユーザーさんはAとBの決着を早く見たいと思っているのにそんな戦闘描写いらなくねえ? とその時思いました。シナリオにとって意味ある戦闘場面ならいいのですが、なくても困らない戦闘演出は作成してだるくなります。
そう、なくても困らない演出は記載してほしくない…。これはスクリプトをやっている人の心の声ですね。ライターさん、ぜひ覚えてください。
個人的には、シナリオパートの場合はシナリオを楽しんでもうらべき、バトルはバトルパートで楽しんでもらうべき、と思っています。
ちなみに戦闘演出をたくさんいれたいなら、
SE(攻撃音)
A「それはお前の得意技だったな」
B「ほう、覚えていたか?」
SE(攻撃音)
A「昔はかわせなかったのに…」
B「昔の俺とは違うということさ」
などきちんと戦闘演出に関係するキャラを描写するセリフがあると読んでいるユーザーさんは飽きないと思います。
まだまだ言いたいことはありますが、今回はこれくらいで。また別の機会に書きたいと思います。
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