第3話 物語に厚みを持たせる

今、あるソシャゲのイベントシナリオを書いてます。


今まではキャラスト担当だったんですけど、書く人が不足しているのか、ディレクターのライターさんに認められたのか、運なのか、理由はよくわかりませんが、とにかくイベントシナリオを任されました。


分量でいえばイベントシナリオはキャラストのおよそ4-5倍。しかも数章にわけて話を進めなくてはなりません。


プロットが通り、いざ執筆していると困ったことが起こりました。


この話数、セリフ量が圧倒的に少ない…という事態です。


ディレクターさんによると1章が6話構成で1話最低でも30セリフほしいとのこと。別に30セリフとルール化されてはいません。過去のイベントを見ても一桁のセリフ数で完結している話数もあります。しかし、30セリフ以下だとシナリオにユーザーさんが物足りなく感じるそうです。


プロット通りにセリフを考えいるのですが、なにぶんイベントシナリオは初めてのことなので勝手がわかりません。


キャラストでしたら話数の分量が少ない分、プロット段階で細かく書けるのでセリフ量をある程度予想できます。


しかし、イベントシナリオはそうはいかない。なにしろ分量がキャラストの4-5倍ですからプロットは出来事とその周辺が中心事項でセリフに関しては必要最低限しか記載できません。


さあ、困った…。


自分が思いついた最初の解決策はセリフの水増しでした。とにかく会話を横に広げる。結果、セリフの分量は増えました。だけど、キャラやストーリーに関係ないセリフばかりなので、自分で読んでいてもしっくりこない。というか、つまらない。


次の解決策は場面を増やすこと。結果的にこれが功を奏しました。


主人公視点、敵の視点、別キャラ視点の場面を増やすことで、意味あるセリフを増やすことに成功しました。


考えたら当たり前です。


Aという時間、主人公も敵も別キャラも同時に動いている。いずれの三者も目的に向かって時間を過ごしている。そこをうまく切り取ればいいだけの話でした。


主人公一行の時間軸だけ書いていてもストーリーは進めることはできます。しかし、それだけではセリフ数が少なく話に厚みがありません。


主人公たちに守りたいものがあれば、敵たちにも達成したい目標がある。それに巻き込まれていく別キャラたち。そこを同時進行にして彼らの感情を丁寧に書いていく。そうすることで物語が重層的になっていくことを学びました。


場面を増やすことは単にセリフの分量を増やすだけではなく、ドラマに厚みを持たせることができる。


以上、今回の結論でした。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る