第2話 トイレ
夜中にトイレに行くのが怖かった。
小学生の時、それまで住んでいた旅館を追い出されて、父親の実家に引っ越した。
父親が事業に失敗して残った金で旅館を買ったは良いものの買ったのは上物だけで、地主ともめて裁判となり、解決金をもらって出る事になった。
父親の実家と書いたが、実は自分の母親は妾で、その自分は妾腹の子供になる。
その本妻の人が長い病気の末に、亡くなって、旅館を出されたのを幸い、そこに住むことになったのだが、平屋の日本家屋でやたら暗い印象の屋敷だった。
困ったのはトイレだった。
やたら、暗いのだ。
時折、夢に出てくるが小便の便器に何かが蹲ってこちらを見ているような夢だ。
仕方ないので、庭に放尿する事がしばしばだった。
引っ越して、9年後、失火で半焼した時は、気分が晴れやかになった。
本当に、何かいたのだろう。
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