第9話 帰郷
往路と同じ5日の行程を経て、僕達はジーメンス領に帰郷した。
「相変わらず田舎ですね…。何日か前にいた王都とは大違いだ。」
ハンスの言う通りだ。周囲に広がる風景は王都へ出発した頃と何も変わらない。
変わったのは、僕の腕の中に
「そうだね。まずは早く
領地に入って1時間程で、僕は我が家に到着した。
馬車や荷物の片付けはハンスとメアリーに任せ、僕はフリーデルと医師のアデリナを伴って
「カール様、私も一緒で良かったのですか?」
フリーデルが僕に問い掛けた。
「うん。領地経営に深く関わってもらうから、ちゃんと引き合わせないとね。」
階段を上がった先に
僕はゆっくりと扉を開け、
「
「カール、良く戻りましたね。
僕は
「御母堂様失礼致します。」
少し間をおいて、フリーデルとアデリナが入ってきた。
「あ、あなたは…フリーデル殿下。」
「いえ、そのままで。私は国王陛下より、カール・ジーメンス伯の領地経営の補佐として仕えるよう命ぜられました。カール様にも申し上げましたが、私は王族では無く臣下として扱ってください。…カール様。」
フリーデルはそこまで説明した後、僕のその後の言葉を促した。
「
「カール様に紹介頂きました、医師のアデリナです。一生懸命治療させていただきますので、心配なことがあったら何でも相談してくださいね。」
医師のアデリナが
「アデリナ先生、よろしくお願いします。カール、貴方が立派になって、あの人もきっと喜んでいるわ。でも無理はしないでね…」
何とか
その後、
「さて、フリーデル。ちょっと僕と外に出ない?」
「カール様?」
「フリーデルに、僕の故郷を案内したいんだ。まだ日は高いから大丈夫だよね。」
「それは構いませんが…。カール様も旅でお疲れでしょうから明日からでも良かったのですが。」
「うーん、でも何かしてないと、何かね…」
僕は苦笑いを浮かべた。ここ数日間、何かと気を張っていたから、急に気を抜くと何かダメになりそうだ。
「分かりました。この館には馬車を引く以外の馬はいますか?」
「うん、一応3頭の馬がいるよ。でも僕は乗馬が苦手で…」
「私と一緒に乗れば良い。ちょっと遠乗りがてら、領地を回ってみましょうか。」
僕はフリーデルと馬に乗って出かけることとなった。
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