Hidden Her Hearts ▼ Side M


 ……いつだって彼は、私の望みを叶えてくれた。どんなに些細なことでも、難しいことでも、叶えようとしてくれた。

 だけどあの時、私は彼のことを信じ切れなかった。私自身、どうしようもないことだと分かっていたから。どれだけ頑張っても、覆しようのない現実なのだと諦めていたから。

 それでも、私が三人一緒にいたいと言ったら、叶えてようとしてくれたと思う。どんな無茶をしてでも……彼はそういう男の子だったから。

 だから私は、彼が困るような願い方をした。

 これ以上、頼ってはいけないと思ったから。三人一緒にいたいなんて、私のわがままになる。迷惑をかけるだけになると思ったから……叶えられない約束をすることで、私はその先に待つ避けようのない孤独を受け入れようとした。

 ――だけど、やっぱり私は、弱い人間だ。

 あれほど強く誓ったはずなのに。ずっと孤独を堪えてきたはずなのに。

 今になって涙が溢れてくる。彼の傍にいることを……また三人でいられる時間を、嬉しく思ってしまう。

 ――もう、いいんだ。私はもう、独りじゃない。

 また一緒にいられる。これからもずっと、一緒にいていいんだ。

 だから私は……いつかきっと、伝えてみせる。

 ずっと我慢していた気持ち。諦めてしまっていた想い。

 今度こそ、私は、ユウ君のことを――。


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