Hidden Her Hearts ▼ Side R


 ……もう、ユウの意地悪。あたしも春雨スープ食べてみたかったのに。なんで舞佳にだけお手製なのか。

 まあ、昨日のあたしはお腹ぺこぺこだったから、確かに春雨スープくらいじゃ足りなかったと思うけど……これもユウなりの優しさなのかも。釈然としないけど、舞佳の笑顔に免じて許してあげることにしましょう。

 この子がこんな風に笑うなんて、いつぶりに見たかな……どれだけ取り繕っても、根っこはやっぱり昔のままね。もっと素直になった方が可愛いし、ユウだって接しやすいと思うんだけど。

 それに……いつかは、伝えないといけないでしょう?

 ちゃんと自分の口で、ユウに向かって。

 その時、今みたいな仏頂面じゃ、きっと後悔するわ。素顔を見せないと……きっと、いつまでも言えないまま。

 ……そうだ。それなら少しだけ、背中を押してあげればいい。

 昔のあたしがずっとそうしてきたように。

 どんなことがあっても、あたしはこの子のお姉さんなんだから。

 どんな手を使っても、この子を素直にさせてみせる――たとえあたし自身が、仮面を被ることになっても……。


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