雪かき
すでおに
雪かき
東京に雪が降った。ニュースには「積雪10㎝も」と出ているけど、うちの周りはそこまで積もっていない。めったに降らないから目安はよくわからないが、せいぜい4~5cmといったところ。
昼から降り出した雪は夕方には止んで、夜の7時前に30分ほど雪かきをした。いつ以来かと記憶を辿っても覚えていない。というよりほとんどやったことがない。雪が降る度に、男手だからやったほうがいいとは思いつつ、さぼって来た。向かいのおばあさんからの「雪が降ったら一緒に雪かきしようね」と下心見え見えの誘いも笑顔でかわしてきた。
今日はやる気になったのは、社会貢献を意識する年になったから。近年少しは世の中のためになろう、社会に還元しようという気持ちが芽生え、手始めに行きつけの床屋にお菓子を差し入れしたら後日お返しされ、返って気を使わせる結果になった。それではと献血に行ってみたら諸事情により出来なかった。慣れないことに慣れるハードルは案外高い。
実は3時過ぎにも一度雪かきしました。雪が降っていたし、外で雪かきする音が聴こえたので。やっていたのは隣の郵便局の局員で、話しかけられたら、うっかり「まだやる意味なさそうですね」と言ってしまった。降り続いている割にあまり積もってはいなかったんです。「(郵便局が)閉まる前にやっておこうと思いまして」といわれて慌てて「まだまだ降り続きそうですね」と取り繕ったのですが、この失言への後悔も夜の雪かきの原動力になりました。
久しぶり?の雪かきは思ったよりも楽でした。大して積もっていなかったせいか。雪国の人に怒られてしいそうだけど、でもスコップでガーっと文字通り雪をかいて道の片隅に集めるだけ。スコップ一杯程度の雪は軽いもの。気温は0度でも中にヒートテックを着こんでいたから汗をかいていい運動になった。明日腰に来るだろうか。
スコップを引き摺る音はうるさくてもご愛敬で風物詩みたいなもの。となり近所の人はどう思っただろう。感謝されたか。案外楽なことを知っているのだろうか。
いままで避けていたことが悔やまれるほど楽ちんだった。早いうちにお父さんと一緒にお風呂に入らなくなった女性は、おち〇ち〇に大きいイメージを持つと聞いたことがある。小学生の頃に会った姉の同級生、すらっとしたお兄さんが、大人になってから見たら思いのほか小柄で驚いた。
「大きくなったねぇ」と親戚のおじさんに感心されるのは誰もが一度は通る道。子供の頃に一度だけした餅つきの杵がやたらと重かったけど、今持ったら軽いのでしょう。といって子供の頃に雪かきをした記憶もないのだけれど。
家の前はかなり片付いて、雪かきあとを撮影してSNSにアップする、ことも頭を過ったものの、写真を撮るのも憚られるお年頃。代わりというわけでもないですが、ここに書いてみました。
令和4年1月6日
雪かき すでおに @sudeoni
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
同じコレクションの次の小説
関連小説
初詣いきますか?/すでおに
★0 エッセイ・ノンフィクション 完結済 1話
コンビニ多すぎませんか?/すでおに
★0 エッセイ・ノンフィクション 完結済 1話
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます