第3話 終わるまで終わらない

「ふふっごめんなさいね」



-- 女の声!?




声に気づくと気づくと同時に僕は腹部に物凄い痛みを感じそのまま気絶した。

何者かに何かで刺されたようだった。



痛みが感じる弊害なのかもしれない。




目が覚めるとあの寝付いた部屋だった。

腹部を見ても刺された痕跡などはない。


「夢?いや、これは寝る前のセーブデータ?」


どうやらゲームオーバーになってしまったらしい。


しかしどうしたものか。

寝たら刺されて死ぬなんて。


「鍵を締められる前に部屋から出てみるか?」


そうだ。幸いまだ鍵はかかってない。

今のうちだ。



-- カチャ



僕は何故か静かに開けてしまった。

別に今殺される訳でもないのに。


「出たのはいいが何をするべきか。」


どうせ死んだらセーブされた所へ戻る。

一旦探索するべきなのか?


いや、でもAIは死ぬ度に学習するし何より死ぬと痛い。


「仕方ない、一旦ここの情報を集めてみるか。」


しかし何も知らずに死に続けるのは勿体ない。

AIがほぼ無力レベルの今こそやるべき事だ。


僕は移動を始めた。


歩いているうちに色んな気づきがあった。


「この階は意外と古いんだな。」


前来た時は前すらも見えていなかったから気づかなかったが、どうやらこの屋敷、綺麗なのは1階だけのようだ。


「何か理由があるのか?」


僕は情報をメモしようとした。


「あっ」


そこである事に気づく。


「バックがどこかに隠されたんだった……」


あいにくゲームの情報は脳内にはメモできない。

紙に書く事になるのだがその紙がいま隠されている。


僕はまずは自分のバックを探すことにした。


とりあえず3階を探してみた。


他の部屋、物置、トイレ………………………………



「こんな部屋作ったっけ?」


僕は身に覚えがない部屋を見つけた。


流石に館の内装くらいは覚えてる。


フロアの端の端、隠れた所にある小さな部屋。


僕は入ってみることにした。



-- キーーーー



幸い鍵はかかっておらず、中が探索できる状態だ。


「あ、これは」


中にはぽつんと僕のバックが置いてあった。


何故だ?なぜ作った覚えのない部屋に僕のバックが?



「おやおやどうしたのですか?」


この声は……?!


なぜ?足音は無かったはず……!


「いいや、トイレを探していて、」


僕は咄嗟に嘘をついた。

心臓が飛び出るほどの緊張感。


このままではジェイに殺される……!


「そうですか、トイレはあちらですよ。お早めにお眠り下さい。」


「は、はい。ありがとうございます。」


ジェイは去っていった。


何故殺されない……?


どうやら相手が気づいている時は殺さないのか?

だとしたら夜起きていれば死なないのでは?


にしても怖すぎる。足音も無しに背後に迫るなんて。


ん?足音もなしに?


まさか足音が聞こえないのではなくてあいつらは足音を出さないのか?


だとしたら相当厄介だ。


「へへ、我ながらおもしれぇゲームじゃねぇか」


僕は苦笑いしながら目の前にあるバックを取った。


これは自分の部屋に隠しておこう。

そう考え僕は鍵が締まらないように工夫をしながらベットの下にバックを隠した。


しかしなんだったんだ?あの部屋は。

もしかしたら作ったのを忘れていただけだろうか?


「もしかしたらバグかもしれない。メモしておこう。」


僕は最終的にバグと考えてメモしておく事にした。


………さて、どうしたものか。この短時間で十分すぎる進展だ。


「しかし脱出の糸口は見えないな……」


いやまて、部屋の鍵が締められただけでもしかしたら玄関は開いているのでは?


「試してみる価値はある。」


僕は部屋を後にし玄関へ向かった。


3階……2階……1階と降りていった。




「……はやめて別の……を考えよう。」


「そうね、一度……したものね。」


メイとジャックが何かを話している。

遠いからよく聞こえないが。


僕は一心に玄関へと向かった。





豪華な廊下を歩いていき玄関についた。やっぱりこの扉は大きい。


鍵が閉まっているか確認してみ…………あれ?取っ手が掴めない?


おかしいな……ゲームのバグか?


今度は勢いよく掴んだ、はずだったが……



腕がめり込んでいる……?



もしかしたら絶好のチャンスかもしれない。

扉に当たり判定がないのだ。


僕はバグとしてメモをしておきながら、扉から顔を覗かせてみた…………



…………嘘だ



僕の目には絶望が映っていた。


森があるはずだった扉の奥に何も無い。


「裏世界……?」


そんなはずはない、このゲームはこんなにもバグを抱えていたのか?



------------



「そう簡単には逃がさないわ。」

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