第2話 恐怖の館へご招待

『主人公は、警察から


「最近人が相次いで行方不明が出ている。調査員と


 してここの怪しいとされている館へ旅人の振りをし調査を


 してきて欲しい。かなり危険だが君にしか頼めないんだ。」


 そう頼まれ、森の奥深く、大きな大きな館へと調査に向かった。』




 ---------------------------



「びしょ濡れですね。外は寒かったでしょう。

 コートを脱いで、私にお預け下さい。」


 僕は言われるがままにコートを脱いでジェイに渡した。


「では、ご案内致しますのでついてきていただけますでしょうか?」


 どうやらWelcomeらしい。


「あ、はい」


 いきなりの出会いに戸惑ってしまった。

 作ったのはキャラクターデザインだけ、

 設定等は完全 ランダム 。


 正直今の気持ちは初めてホラーゲームをプレイしている気分だ。


「では、どうぞこちらへ」


 言われた通り、執事を名乗るものについて行く。


 そして長い長い廊下を歩く。



 -- タッタッタ



 何か違和感がある。


 まあ気のせいだろう。


 ………………………


 いつの間にか興奮から恐怖へと感情が変化しつつあった。


 そしてしばらく無言が続いた。



 -- ………………



「客人なんて珍しいですね、最近は誰も来ませんでしたから。」


 しばらくという程の時間はたっていなかったらしい。

 体感ではものすごく長く感じた。


「はい、少し頼み事がありまして、」


 優しそうな声が余計に怖い。


「そうですか、では直接主様あるじさまにお伝えください。」


 どうやら今から 主様 とやらに会うらしい。



 -- タッタッタ



「つきましたよ。さあ中へお入りください。」


 ついたみたいだ。

 恐らく今から入る所は応接室だと思いたい。



 -- キキーーー



 扉を開け中へとはいる。


 凄く豪華な部屋だ。

 ここには椅子とテーブルが置いてあるだけなのに。


「くつろいでて構いませんので、少々お待ちください。」


 そうジェイは言いコートを椅子にかけて部屋を出ていった。



 -- チクッ タクッ



 時計の音が部屋に響き渡る。

 やけに静かだ、雨の音さえしない。


「しかしこれでもシナリオ通りなんだな……」


 自分で作った物で自分が物凄い恐怖を覚えるなんて、

 とんでもないものを作ってしまったのかと思った。


 この恐怖はどこから来るのかは明白だった。


 それは、〈 ランダム・どんどん学習する・痛みがある・

 クリアするまで終わらない 〉

こんな要素が混ざったらそりゃ怖いだろう。


 もしかしたら今自分は物凄いことをしているんだとあの時の気楽な自分を恨んで憎んだ。



 -- ガチャ



 扉が突然開いた。


 考え込んでいたせいか足音が聞こえなかったため余計に驚いた。


「ごきげんよう。」


 綺麗なドレスを身にまとい、

子供っぽいような大人っぽいような少女が扉から出てきた。


「こんばんは!」


 それに続くやんちゃそうな少年。


 そしてジェイもいた。


 どうやら主様とやらのご登場だ。


 二人とも僕と対面できる席へと座った。


「私、メイっていいます。ここの館の主という立場?なのかしら」


 どうやら名前はメイといって、この少女が主様で間違いなさそうだ。


「僕はジャックだよ。メイの弟。」


 こっちの少年はジャックでメイの弟か、

 どうやら姉弟らしい。


「外は寒かったでしょう?一体どのようなご要件で?」


 メイが尋ねてきた。


 勿論嘘は考えてある。


 あくまで調だから勘づかれてはいけない。


「あ、はい、私は旅をしている人間で、急に雨が降ったものでどこかに泊めさせて貰えないかと思いまして。」


 ちょうど雨が降っていて好都合だった。


「まあ、そうだったの、大変だったわね。

 良かったらうちに泊まるかしら?」


 都合のいい返事だ。


「良いんですか?是非よろしくお願いします!」


 食い気味に返事をする。


「勿論。ジェイ、準備をお願い。」


 どうやら準備とやらをしてくれるらしい。


「お任せ下さい、主様。

 お客様、お荷物お預かりいたします。」


 僕は色々道具が入っているバックをジェイに託した。

 コートは大丈夫だったしバックも大丈夫だろうという考えからだ。


「さて、準備が終わるまで少しお話しをしましょう」


 メイが提案した。



 さあ、地獄の尋問が始まる。





「まずは、この館についてお話しますわ。」


 意外だった、いや、少し勘違していたのかもしれない。

 探りを入れられるかと勝手に思っていた。


 よく良く考えればこの流れからして普通の話題だが。


「は、はぁ」


「それでは、まずは、1階から……」


 僕の部屋の場所,行っていい場所,行ってはダメな場所,

 食事場,御手洗等、色々教えてくれた。


 幸い、怪しまれてはいない。

 そりゃそうだ、まだ会ったばかりだから。


 内心少しほっとした。



 -- ガチャ



 扉が開き、ジェイが呼ぶ。


「準備が整いました。」


 もう準備が……ちょっと速すぎるかな?


「さあ、行きましょうか。ジェイについて行けばあなたの部屋につくわ。」


「お兄ちゃん行こっか。」


 メイとジャックが立ち上がり、つられて僕も立ち上がる。



 -- ガチャ


 -- タッタッタ



 またもや無言で歩いていく。


 今更だが、やはりこの館は大きいな。

 開発者目線で見るのと人目線で見るのは全然違うな。


 そんなことを考えつつ、どんどん進んでいく。


「じゃあ、私たちはこれで。」


「これで!」


 メイとジャックが途中で別れた。


 どうやら部屋?は1階にあるらしい。

 情報になるかな。



 -- タッタッタ



 やっぱり何か違和感がある。

 けど何が違和感なのかが分からない。


 その違和感は自分の部屋となるところまで続いた。


「では、つきましたよ。それでは私はこれで。」


「あ、ありがとうございました。」


 色々と疲れた。一旦部屋へ入り、椅子に座った。

 しかし、妙に親切だった……



 -- カチャ



「なんだ今の音!?」


 なにか鍵が締まる音のような……

 もしかして……?!





 予想が的中した。

 どうやら外から施錠されたようだ。


 しかもこの部屋、鍵穴が部屋の中側にある。

 つまり、中から開けられない細工がしてある。


 それに、ジェイに渡した荷物がどこにもない。



 まあ、してやられたって感じだな。



「今回の 設定 は手応えがありそうだな……」



 僕はこれから起こることに興奮と恐怖を覚えながら、

 ベットで眠りについた。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る