Debug -デバッグ-
Cancer
第1話 舞台の幕開け
「よしっ、完成だ」
僕はそう呟き体を伸ばした。
昨晩は完成が楽しみすぎて徹夜で作業をしてしまったからか疲れが溜まっている。
「ついに出来たぞ自作ゲームッー!」
しかし、疲れたなんて関係なく、
成し遂げた事が嬉しすぎて雄叫びをあげてしまった。
完成したのは、
〈死ぬ度に敵が学習するミステリー脱出ゲーム〉
しかも、小型機器を頭部に取り付けて脳内で遊べる最新機能付き!
「絶対売れるね。神ゲーを創作してしまった!」
「と言ってもまだ完成じゃなかったな……」
そう、プログラムが完成したら地獄のデバッグ作業が待っている。
しかし、完成されたゲームを作るにはかかせない作業、つまり逃れられない地獄!
「まあテストプレイも兼ねていっちょやりますか」
しかし地獄だからなんだ!楽しければいいじゃないか!の精神の元、僕は例の機器を頭に取り付け、電源を入れた。
「緊張するな………………うっ」
-- ピピッピーーーー
耳が痛くなるようなノイズが聞こえ目の前が一瞬暗くなる。
そして徐々に明るくなりホーム画面が見えてきた。
「やっぱりこのノイズは少しきついな……」
早速改善対象が見つかってしまった。
しかし、改善対象が見つかったらすぐに直しに戻るのも少し違う気がする。
「そうだな、改善すべき点はメモしておくか」
脳内だからメモを取るのは容易いのだ。
やることを確認した上で早速ゲームを起動する。
-- ♪♪
聞きなれた音楽を背景にスタート画面が見えてきた。
「やっぱりこの瞬間はいつ体験しても興奮するなぁ」
壮大な演出は老若男女問わず誰でも興奮するだろう。
「さて、早速プレイ……の前に、」
-- ピッピ
初期設定を済ませ、難易度を設定していく
〈 イージー 〉〈 ノーマル 〉〈 ハード 〉のどれかだ
「やっぱり製作者だしハードがクリア出て当然だよな」
そう謎の自信をもち、ハードを選択した。
ちなみに、製作者だからってこのゲームが上手い訳でもない。
なぜなら動きが完全ランダムで読めないからだ!
ていうけど実際は決まった中での ランダム だけどね。
難易度を選択したら次はプレイ時間だが、
せっかくだしという軽いノリで
〈 じっくり 〉を選択してしまった。
じっくりは最後までクリアしないと終わらない鬼畜難易度だ。
全てを設定し終えると、ゲームスタート を押した。
ゲームを読み込むための長いロードが始まる
--------- L o a d i n g... ---------
かれこれ4,5分はたっただろうか、
やっとローディングが終わり画面が切り替わった。
画面が切り替わるとそこにはゲームとは思えない景色がある。
辺りは森、目の前には大きな大きな館がある。
しかも何よりも今は大雨が降っている。
「うわ〜やっぱいつ見てもいい出来だな」
ここが最初の戦場だ。
「いや、それより雨が酷いな、中に入れて貰えないかな?」
脳内でゲームをプレイしているだけだが、濡れている感覚はある。
勿論痛みだってあるだろう。
-- コンコン
早速ノックをし館を訪ねる。
「開けていただけませんかー?」
-- ギギギギギ
古びた木の動く音と同時に大きな扉が開いた。
「あ、開いたなら入っていいのかな?」
ま、いっかと館の中へと入っていく。
「興奮するなぁ」
いつの間にか無我夢中で歩いていた。
長いようで短い廊下だった。
ふと我に返ると自分は屋敷のとても綺麗なホールにいた。
とりあえず落ち着いた所で今ある情報を確認する。
情報確認は大切だ。
「えっと、確か第1章の会場はここの館で、敵となる人は……」
-- ガチャ
-- キーーーー
突然目の前の大きな扉が開き、
中からのっぽでスーツがきまっている初老の人が出てきた。
「ようこそおいでくださいました。私執事のジェイと申します。」
どうやら敵とご対面のようだ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます