第60話城田亜梨沙ルートBADEND
外は風が凄く、一歩出れば風に飛ばされそうにも思える。今日は昼から季節外れの台風が接近するとテレビのアナウンサーも言っていた。
亜梨沙姉ちゃんと久遠を探しに行くが二人は簡単に見つからないそして風だけでなく雨まで降ってきてしまった。
「おーい、にいに」
「久遠? よかった。取り敢えずそこの公園の屋根に入るぞ」
久遠が見つかり、急いで公園のベンチがある屋根へと急ぐ。久遠の服はびしょびしょで少し透けていたがそんな事は気にしない。
「久遠、亜梨沙姉ちゃんはどこだ?」
「亜梨沙ちゃんなら先に帰ってるって言ってたよ」
「そうか仲直りしたんだな」
「……うんちゃんと話して仲直りしたんだ」
俺としても二人が険悪のままでは嫌だった為久遠の言葉に安堵する。
「てかにいにあっち向いてて」
「え……あ!? 悪い」
ここでそっぽを向いて久遠の透けた服を見ないようにする。
「てかにいにこそ家で待ってればよかったのに」
「二人の事が心配でなそれに家にいちゃ居心地が悪かったから」
「そうなんだね、雨止んだね」
今まで降っていた雨は急に止んで風だけがまだ強く吹いているが何とか家に帰れそうである。
「ただいま」
「よかったあんた達無事だったのね」
家の玄関の扉を開けていきなり母さんが抱き着いてきた。
「うわ何母さん急に」
そして母さんに聞かされた事に衝撃を受けた。
「亜梨沙姉ちゃんが死んだ……はは母さん何冗談言ってんだよ」
正直最初は信じられないでいた。
「今さっき警察から連絡があって、近くの川で遺体が見つかったらしいの。そしたら亜梨沙ちゃんの身分証が出てきたみたい。どうやらさっきの台風のせいで川付近の土手で足を滑らせて川に落ちたらしくて警察は事故だって」
リビングで泣き崩れる亜梨沙姉ちゃんの両親。
「嘘だろ……」
そこで俺の体も崩れ落ちた壁にもたれ掛かり涙が流れてくる。
「彰人君私ね。両親に反対されてでもいいから、彰人君の赤ちゃん産みたいんだ。けどねもし本当に認めてくれなかった時彰人君は私と駆け落ちしてくれる……?」
「俺は……」
両親と話す前、俺はまだ中途半端で亜梨沙姉ちゃんが言う駆け落ちなど考えてもいなかったし、答えられる事すら出来なかった。
「クソ、クソ、クソぉぉぉ」
俺は壁をドンドンドンと何度も叩いて叫ぶ。
「亜梨沙ちゃんごめんね、でもにいにはずっと私の物だから誰にも渡さないって決めてたの。だからお姉ちゃんと一緒に天国から見ててね亜梨沙ちゃん」
久遠は一人リビングから廊下に出て自分の部屋へと入る。久遠は部屋の壁にかけてあったコルクボードを裏返すと裏返したコルクボードには無数の写真が貼られていた。久遠は無数に貼られた写真の中から一枚の写真に注目しマジックペンを手に取り城田亜梨沙の写った写真にバツを書く。
城田亜梨沙ルートBADEND
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