第59話城田家家族会議

 

「………」


「………」


「………」


「………」


 目の前に座る両親と亜梨沙姉ちゃんの両親は先程まで談笑していたのだが話が切り替わり空気が重くなったのだ。


「まず何から話せばいいのやら、亜梨沙本当に妊娠したのか?」


 最初に口を開いたのは亜梨沙姉ちゃんの父親だった、会うといつも優しい口調だが今は少し怒っているように見えた。


「病院に行って先生に聞いたから」


「で、亜梨沙はどうしたいの?」


「私は……彰人君の子供なら産みたい」


「そう。なら産みなさい」


「……はい?」


「まぁ問題はあるが亜梨沙が早く大人になっただけだ、父さんも母さんも安心したよ」


「まだ彰人君が高校一年生だから卒業までは籍を入れられないわね」


 さっきまでの重い空気は無くなり、亜梨沙姉ちゃんの両親は亜梨沙姉ちゃんが子供を産む事に賛成したしかも俺との婚姻までを見据えていたのだが。


「彰人」


「………」


 名前を呼んだのは俺の父さんだ、母さんは父さんの隣に座りずっと押し黙ったままだ。


「私は反対だよ、にいにと亜梨沙ちゃんに子供ができるなんて」


「久遠ちゃん……」


 父さんの話を久遠が間に入り邪魔した。


「久遠お前には関係ない話だ、部屋に戻ってろ」


「関係なくない。私はにいにと同じ家族で妹だもん」


 久遠は亜梨沙姉ちゃんの方をキッと睨む。


「亜梨沙ちゃんのせいだ!! 全部亜梨沙ちゃんが悪いんだ。亜梨沙ちゃんが妊娠なんてするから」


「久遠ちゃん……!!」


 久遠は涙を流してリビングから出て行く、久遠を追って亜梨沙姉ちゃんも出て行ってしまう。


「彰人もしお前が本当に覚悟があるというなら母さんも私も止めはしない。だがもう二度とこの家に帰ってくる事は許さないそれだけは覚えておけ」


「ちょっと兄さんいくらなんでも酷すぎるよ」


 叔母さんが父さんに異議を唱えるが父さんは聞きもしない様子だ。


「俺亜梨沙姉ちゃんと久遠を探してくるから」


 正直答えなんてまだ決まってもいないだがここにいても埒が明かないので俺も亜梨沙姉ちゃんと久遠を探しにリビングから出ていく。

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