椎名胡桃の過去

第33話椎名胡桃の部屋でアルバムを見る

 

 椎名胡桃と約束した放課後になり、学校の校門で待つ。


 何故かってそれはお昼に突然椎名胡桃からメールでーー放課後センパイの学校の校門まで行くので待っていて下さいとーーメールが届いたからだ。


「センパーイ」


 そんな声と共に椎名胡桃は駆け足で校門で待っていた俺の方に駆け寄ってきた。


「お待たせしました」


「別に俺の方から迎えにいってもよかったのに、なんでお前から来るんだ」


「それはセンパイの同級生や上級生の皆さんに見せつける為ですよ」


 椎名胡桃は駆け寄ってきて早々に腕を組み始めた、それを今から帰宅する同級生、上級生に加えて部活の練習中の奴らに見られる。


「おい……あいつって確かこの前天花ちゃんと一緒にいた男じゃないか」


「隣の女子は誰だ……? 可愛いけど確かあの制服って隣町にある名門中学校の制服だよな」


「女子の方は可愛いけど男子の方がな、なのになんであいつばっかり女子と話せるんだ」


「センパイって男子生徒から恨まれてるらしいですね」


「あんな大声で聞こえてないとでも思ってるのか」


 若干の距離はあれど同級生、上級生の男子生徒は大声で言葉にしていたせいで、俺にまで聞こえてきた。


「女子の方は別に数人以外は問題ないようですね」


「数人……? お前何言ってる、見える限り男子生徒しかいないだろ」


「……あっ、こっちの話ですこっちの話。それよりもセンパイ早く行きましょ」


 椎名胡桃と腕を組んだまま、椎名胡桃の家に着き、椎名胡桃の部屋へと上がる。


 前に写真で見た通りのままだ、俺が前にゲーセンで取ったクマのぬいぐるみが部屋を半分占拠していた。


「ここがお前の部屋か」


「センパイって女子の部屋とか入るの初めてですか」


「いや前に幼馴染の女子がいたから、たまに招いたりしてもらってたかな。それと姉さんの部屋にも入り浸っていたし」


「へーーーお姉さんの部屋にですか」


「なんだよ悪いのか」


「いえその悪いとは思ってないですけど。入り浸っていた理由を聞いても」


「断る」


 こればかりはどうしても答えられる訳がない。


「まぁそれはそれとして今はこれです」


 椎名胡桃はクローゼットからアルバムを取り出してきた。


「センパイも座ってください。立ったままじゃ疲れるでしょ」


「そうだな」


 足を崩して椎名胡桃の隣に座らせてもらう、椎名胡桃はいつもより真剣な顔になる。


「昨日センパイが言っていた天神舞亜についての疑問はこれから私が話すので。まずはこのアルバムを見てください」


 アルバムの一ページ目を開く、その写真は昔みたいだが面影がある。


 俺と椎名胡桃が遊ぶ写真が写っていた。


「センパイは覚えてないかもしれないですけど、私とセンパイはずっと前に知り合っていたんです」


 見た限り小学校低学年の頃だろうか。


 堺霞が引っ越して、毎日のように公園で遊んでいた。


 その時に仲良くなった子がいたかもしれないが、こいつと知り合っていた記憶なんて一切ない。


「今から全部話します、私とセンパイについて……天神舞亜がした事を」

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