第31話アイセブンのメンバー
「わあここで会うなんてすっごい偶然。なんで彰人君がファミレスに?」
「いや、椎名と昼にしよってファミレスに入ってきたんですけど。それよりも天花さんの方こそLIVEとかの準備があるんじゃ」
「あとはリハーサルを数回やって本番だからその前に皆でお昼にしよって話して近くにあったここに入ったの」
「皆……?」
「ちょっと天花!! いつまでドリンクバーに時間かかってるのよ」
「ああごめん、ごめん。偶然知り合いとばったり会ってさ」
「知り合い……? この男誰? それよりもなんでファミレスの中にいるの。ここは今私達の貸切の筈だけど」
女子にしては珍しい強気な顔の持ち主だが、この人はよく知っている、アイセブンの一人だ確か名前は三島奏だったよな。
「多分さっき奏がお手洗いに行ってる時に店員さんが二人お客さん来たって言ってたから、そうだよね彰人君」
「そうですね店員が奥に確認しに行ったのは天花さん達がいるからなんですね」
「それなら早く食べて出ていってよね、私男にはあまり近づきたくないんだから」
「文句なら彰人君に言わずに
「舞香さんに文句なんて言える訳ないでしょ」
「なになに!? なんの騒ぎですかセンパイ」
「どうしたの!? 舞亜ちゃん、奏ちゃん」
騒ぎを聞きつけ椎名胡桃と奥にいたであろうアイセブンのメンバー達が続々と集まってくる。
皆最近テレビでよく出演しているので俺でも顔と名前ぐらいは知っていた。
「センパイこの人達アイセブンの」
「彰人君もしかして椎名胡桃に誘われて私達のLIVEに来たの」
椎名は続々と集まるメンバー達に驚いていた、こいつもしかしてアイセブンのファンなのか、俺は集まってきたメンバーを見ても驚きはしなかった。
「いやここに来るまで俺も知らなかったんですよね。そういえばこの前の勉強会の時にこいつにLIVEのチケットくれたらしいですね。ありがとうございます」
「ううん、彰人君にお礼を言われる程じゃないよ。それよりも胡桃ちゃん私とちょっと奥でお話しよっか」
椎名胡桃は無言で愛刀天花の後に続く、俺は一人取り残されアイセブンのメンバー達にもみくちゃにされる。
「それで天花ちゃんとはどんな関係なの?」
メンバーの中で一番年上ぽいお姉さんが質問してきた、この人は
いいとこのお嬢様と出演したニュース番組で聞いた事がある。
「一応学校の先輩ですかね。林間学校の時に仲良くなったというか、喋るようになりました」
「じゃああれですね、天花さんにも春が来たって言う意味ですかね……?」
メンバーの中で一番小さな少女が頷きながら納得する、正直小学生かと見間違うくらい小さい。
この見た目だが高校二年生だという事を知っている名前は
ファンの男性女性の呼び名はお兄ちゃんお姉ちゃんらしい。
「私は正直……て……天花さんが羨ましいです。男性と上手く会話できたり仲良くできるだけで」
おどおどと答える女子、この子の名前はええっと思い出せない。
「
先程の強気な顔の持ち主三島奏が波華と呼ばれる女子を抱きしめ慰めていた、思い出した
だが男性もコアなファンが多く、立花波華を陰ながら見守っているらしい。
「そういえばお兄さんの名前ってまだ聞いてなかったけどなんて言うの」
「俺…? 俺は城田彰人だけど」
「城田……? 亜梨沙ちゃんと同じ苗字だけどもしかして知り合いとか」
「ううん全然知らないよ」
従姉から言われると少し傷つくが、ここは知らない人の振りをしろという事だろう。
「たまたま同じ苗字の人と会うなんて偶然ですね、しかもそれが人気アイドルグループのメンバーだとは」
少し臭い芝居だがこれで大丈夫だろうとアイコンタクトを送るが、そっぽを向かれ無視された。
でいつの間にか俺と椎名胡桃が座っていた席にアイセブンのメンバー達が勝手に座り、ドリンクバーでコップに注いだジュースを飲みながら会話していた。
数分後ようやく椎名胡桃と愛刀天花が戻ってきた、正直俺一人じゃもう限界だったのでありがたい。
「それじゃあ皆そろそろ戻ろうかリハーサルも始まるだろうし」
「そうだね、彰人君これからも天花ちゃんと仲良くしてあげてね」
メンバーの中で一番のお姉さんだからなのか、それを断る事なんてできない。
「もちろん俺の方こそ、この前の勉強会で天花さんにはお世話になったので。何か恩返しができればいいと思ってます」
「彰人さーん、今後もし何かあったら頼りにしたいんで
有無を言わさず、湊心愛とスマミフォンのLAMEを交換する。
「あれアイセブンって七人のアイドルグループですよね? あの
椎名胡桃が指摘した通り確かにここのファミレスにいるのは珠美舞香、城田亜梨沙、立花波華、三島奏、湊心愛、愛刀天花、の六人だった事に気付く。
伊藤愛美とは容姿端麗でアイセブンで絶対的女王と噂を聞いた事があるなんでも男性のファンでも豚とか罵ると。
まあそれでも罵られて喜ぶようなファンもいるだとか、俺にはそんな気は全くないので安心だが。
「あいつはメンバーの中でも空気が読めないのよ。天花や心愛の次に人気はあるのにファンを大切にしないし食事に誘っても一切断るし」
三島奏が伊藤愛美について語る。
「ほらメンバーの悪口とか陰口は禁止だよ」
天花さんが場の空気を戻す、六人はファミレスの会計を済ませる。
「それじゃあ彰人君LIVE楽しみにしててね」
出て行く間際、手を振られ伝えられる。
「椎名さっき天花さんと奥に行ってたけど何話してたんだ」
「センパイには関係のない話です。それよりもセンパイもう料理届いてますよ、早く食べましょう」
たしかにさっき頼んだハンバーグとご飯が運ばれてきた、椎名胡桃はそれを美味しそうに食べる、こいつが関係ないって言ったんなら、本当に関係ないのだろう。
俺は椎名胡桃と一緒に運ばれてきたハンバーグとご飯を共に食べるのだった。
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