椎名胡桃とデート
第28話椎名胡桃とプリクラを撮る
久遠と観た映画ライバルリベンジはとても面白く勉強のいい息抜きなった。
映画を観終わった俺と久遠は中間テストもあるので家に帰り各自で復習の勉強をした。
久遠との映画を観た日から御嬢瑞希のメールが気になり、どうかしたのかとメールしたのだが、返事は返って来なかった。
もしかしたら送るメールアドレスが間違っていたのかと思い確認するが。
俺が送ったメールは正真正銘御嬢瑞希のメールアドレスだった。
中間テストが始まる前日に最後の復習を一人でしていたそのおかげもあり俺の中間テストの成績はギリギリの結果で赤点を回避した。
だが一つだけ気掛かりは翔也が中間テストの一日目に久しぶり学校に登校してきたのだが、翔也は俺とは話さずに中間テストが終わると急いで教室から出ていく。
「おい、待てよ翔也」
教室から急いで出ていった翔也を追いかける。
「はぁ…はぁ…あいつ速すぎ」
校門で立ち止まる、翔也は俺を振り切って、校門から全力疾走で走り去って行く。
「センパイ?」
「椎名……」
椎名胡桃と学校の校門で偶然出会う。
「どうしたんですか、そんな息を切らして」
「いや、ちょっと色々あってな。それよりも椎名がなんでここにいるんだ?」
「あー、それはセンパイに会いに来たというか」
「俺に?」
「はい、センパイ。今日って今から暇ですか」
「え……? 別に暇だけど」
「だったら私と放課後デートしてください」
「そんな事言うから、何か考えがあると思ったのになんも考えてないとか」
「いいですかセンパイ、これはあくまで週末予定しているデートの一時的な放課後デートです。だからセンパイは私をリードして連れて行ってください」
「はぁ」
ため息を吐いてしまう。
「センパイため息を吐くと幸福が逃げるって言いますよ」
「お前を置いて逃げるって選択肢はないか」
「有り得ませんね、今センパイには幸福が訪れているでしょう」
「どうゆう事だ」
「だってこんな可愛い後輩が放課後デートに誘ってきたんですから、幸福って以外何もないでしょ」
「じゃあ放課後デートってのは無しって事でそれじゃあ」
あばよと感じで一目散に椎名胡桃の目の前から逃げようとするが、椎名胡桃が腕を組んできて、逃げれない。
「おい離せ」
「いいから行きますよセンパイ。こうなったら私がリードします」
「はーなーせ!!」
駄々をこねる子供のように椎名胡桃を振り払おうとするが、椎名胡桃は聞く耳を持たず、そのまま腕を組まれたまま、駅前のゲーセンまで連行されていく。
「なんだゲーセンに来たかったのか」
「センパイこっち」
椎名に連行されるままアーケードゲームの筐体を抜けた先はカップルや友達が撮るプリクラが多数並んでいた。
「おい、プリクラ撮るなんて聞いてないぞ」
椎名胡桃に直接問いただすが、椎名胡桃は答えずお金を投入して、プリクラの中に入る。
「ちょおい!? くっつき過ぎだ」
「いいじゃないですかこれくらい。それともセンパイは私に抱き着かれただけで興奮するんですか」
プリクラの中は狭く、椎名胡桃は先程よりも密着してくる、こいつにしては珍しいと思っていると、シャッターが切られた。
「あーあほらセンパイが恥ずかしがってるから、センパイの顔切れちゃってるじゃないですか、撮り直しますよ」
椎名胡桃は出て来たプリクラ写真に不満なのか再度お金を投入、俺はまたプリクラの中に入れられる。
「センパイ」
「たく、金が持ったいないからさっさと撮るぞ」
全部椎名胡桃が使っている金だが、後で半分払おうと考えて椎名胡桃と密着状態になる、本当は気恥づかしいが、早く終わらせる為にこのまま我慢する。
「センパイ」
「何だよ俺はもう撮り直すのはしたくないんだが、んむ!?」
唐突に椎名胡桃が唇にキスしてきた、あの時よりも長いキス。
「ちゅむセンパイ、センパイ」
「おい、止めろ」
舌まで入れてキスしてきた椎名胡桃をさっきとは違い無理矢理振り払う。
「センパイ?」
「すまん、悪いがこのまま帰る」
俺はプリクラから立ち去り際、椎名胡桃に伝えプリクラから出て、アーケードゲームが並ぶ所を通り過ぎて、ゲーセンを後にする。
「センパイ、ごめんなさい、ごめんなさい、最低な後輩でごめんなさい」
泣き崩れる椎名胡桃はある人物と出会う。
「あなたは」
「久しぶりだね椎名胡桃ちゃん」
「……天神舞亜」
「おお怖い、怖いそんな睨まないでよ、折角の再会なんだから」
「そうかあなたのせいでセンパイは記憶を失って」
「うーんそれはちょっと違うかな、正確に言えば彰人君は胡桃ちゃんだけの記憶を失ってる」
「ずっと不思議でした、センパイが私の事を忘れている事がそれでやっと解りました。センパイが記憶を失ったのはお姉さんが亡くなったからだと」
「あなたがセンパイのお姉さんを事故に見せかけ殺したから」
「胡桃ちゃんの方こそ冬華に消えてほしかったくせに」
「あなたと一緒にしないでください」
「今度彰人君とデートするみたいだけど……もし冬華みたいになりたくなかったら気を付けた方がいいわよ」
天神舞亜はそれだけ伝え、椎名胡桃の前から立ち去る。
「よし……」
気合いをいれ、携帯を取り出し、ポチポチとボタンを押して数分、送信ボタンを押して椎名胡桃はプリクラから出来た写真を取り出す。
椎名胡桃は彰人とのチュープリ写真を携帯の見える所に一枚貼り付けてゲーセンから立ち去る。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます