第23話勉強会彰人以外全員女子
何事も無く学校に着く事ができた、なんだか学校に来るのも久しぶりの感じがして、校門を抜けて教室に入ると。
クラス中から視線を感じた、俺は自分の席に座り、隣が篠崎雪泉ではない事に気が付いた。
「よう彰人」
「翔也なんでお前俺の隣の席座ってんだよ。また前みたいにキレられても知らないぞ」
「それはないな、だってお前がいない間に席替えが行われたんだから」
「なっ!? また俺がいない時に席替えが」
人生で二度も学校の席替えに参加出来ないのは俺だけではないだろうか。
「まあ実際クジ引きで決まったんだけどな、よかったじゃねぇか、俺達隣同士になったんだし」
翔也は肩を組んできた、予鈴のチャイムが鳴り、担任が教室の扉を開けて入ってくる。
「ほーい出席とるぞって、城田なんだ学校に来たのか」
「そりゃ来ますよ、やっと退院できたんですから」
「まぁ別に構わないが」
担任は出席をとり始め、なんだ俺が学校に来たら何か不都合でもあるのか。
「授業を始める前に、この前言った中間テストだが、来週から始まる」
久しぶりの登校にして、まさかの中間テストの期間を伝えられる。
「……は?」
最初は何かの冗談かなって思った、林間学校が終わってまだ一週間ちょっとで来週には中間テストって、殺す気なのか。
「まあちゃんと授業を聞いてノートを取ってれば、まず間違いなく赤点なんて取る事はないだろう。一応伝えておくがこの高校では中間テスト期末テストで赤点をなんか取ったら、一週間学校で泊まり込みの勉強合宿を行う事になってるからな」
しかもまさか赤点を取ったら勉強合宿に強制参加とは、これは俺にとって一番の試練かもしれない。
「おい彰人」
隣の席に座る翔也がちょいちょいと指を手招きする、耳打ちできる距離まで席を近づけ。
「何だよ?翔也」
小声で担任に聞こえないよう、翔也とコソコソ話をする。
「お前休んでいた間の授業とか分かんねぇだろ」
「まあそりゃな」
「中間テストが始まる前にこれから放課後毎日勉強会でもしないか。いくら俺でも赤点を取って、学校で泊まり込みの勉強合宿なんて嫌だからな」
「それは構わないけど、翔也お前俺がいない間ちゃんと授業聞いてノート取ってたのか」
「んなの取ってるわけないだろ」
翔也は自信満々に答えた、俺は溜め息が出る。
放課後翔也の案で俺の部屋で勉強会をする事になったのだが。
「へーここが彰人君の家か」
「おい彰人、なんであの愛刀天花がここにいるんだ」
「さあ、俺にも分からん」
俺と翔也の横には愛刀天花がいたのだ。
「二人が勉強会するって聞いたから、先輩の私が少し役に立ってあげようかなって思ってね」
一体どこから勉強会の話を聞きつけてきたのか。
「まさか翔也お前が話したのか」
「冗談言うな、愛刀天花に話しかけられる訳ないだろ」
確かに翔也がアイドル兼女優の愛刀天花に話せる程の根性があるとは思えなかった、だったら一体誰が。
「にいに、玄関前で何してるの……?」
家の玄関前に三人で立っていると、久遠と御嬢瑞希が現れた。
「久遠に御嬢瑞希」
「彰人様お久しぶりです、退院されたと聞いて安心しました」
御嬢瑞希は久しぶりに会うと、いきなり抱き着いてきて一粒の涙が流れた、隣にいた翔也が不思議に見てきた。
「彰人、お前一回〇んどけ」
翔也が肩にポンと腕を置くと笑顔で言った、おい翔也友達に言う台詞じゃないだろそれ。
「クッソなんで彰人ばっかり、こんないい思いしてんだよ」
「翔也近所に迷惑になるからそんな叫ぶなよ」
このままではらちがあかないので、一旦全員で家の中に入る。
「久遠達も勉強会をするつもりだったのか」
「うん、こっちも中間テストが来週に行われるから瑞希ちゃんと話してする事になったんだ」
御嬢瑞希、愛刀天花、翔也、を部屋に上げて俺と久遠は母さんに来客用の飲み物と菓子を貰いにきていた。
「じゃあ俺達と一緒に勉強するか、一応中学生の問題ならまだ分かる所あるかもしれないし」
「本当!! だったらにいにの部屋に瑞希ちゃん連れていくね」
久遠は母さんから飲み物と菓子を受け取って、リビングを出ると階段を駆け上がっていく。
「あれ翔也は?」
「なんだか具合が悪くなったって言って帰って行ったよ」
部屋に戻ってくると、翔也がいない事に気づく、久遠の部屋にあった使ってないテーブルを囲んでいた。
「たくっあいつ自分から勉強会しようっていいだしたのに、しかも俺に一言も言わないで帰るとか」
明日学校で会ったら、文句の一つでも言ってやろうと俺は空いていた御嬢瑞希の隣に座る。
「一応各自で復習しながら、分からない所があったら聞いていく感じでいいかな」
全員異議はないらしい、俺も学校の鞄から数学の教科書とノートを出し、テーブルに拡げて、復習を始める。
「彰人様、そこ間違ってらっしゃいますよ」
「え? うそだろ……」
御嬢瑞希に指摘される、俺はどこで間違っていたのか不思議に思っていると、御嬢瑞希はスラスラと俺のノートに書き写し始めた。
「ほら」
「本当だ」
どうやら俺は問題文から間違っていたらしく、御嬢瑞希に指摘されて初めて分かった。
「いや恥ずかしいな、中学生に間違いを指摘されるなんて」
「そんな、たまたま分かる問題だっただけです」
御嬢瑞希は微笑み答える、俺の体が一瞬震えた、久遠と愛刀天花を見ると、俺の方を凝視していた。
「二人とも何かありましたか……?」
「ううん別に何も、何でもないよ」
二人は同時に答えると、教科書とノートに向き直る。
「彰人様、もし何か間違ってそうな問題があったら私に聞いてくだされば、もしかしたら解ける問題かもしれません」
「じゃあ一応、その時は聞こうかな。でもそっちも他の勉強とかあるんじゃ」
「私なら家でも勉強できているので平気ですよ」
御嬢瑞希はニッコリと微笑む、その時ポケットに入れていたスマミフォンが震えた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます