第4話早朝リビングに御嬢瑞希がいて驚く


「おはよう……」


 欠伸と共にリビングにいる母さんに朝の挨拶をすると母さんは台所から声をかけてきた。


「あら今日は随分と起きてくるのが早いのね。」


「まあね。」


「おはようございます城田彰人様。」


  まだ朝の六時過ぎ、久しぶり早く目が覚めてリビングに行くと制服に着替えた久遠ではなく、昨日久遠と同じ学校の生徒で道案内をした御嬢財閥の娘御嬢瑞希が母さんが作った朝食を食べていたのだ。


「どうやらまだ夢を見ているようだ、母さんちょっと頬を引っ張って欲しい。」


「いててて……!?」


  母さんはおもいっきり頬を引っ張り痛いと感じ夢ではないと確信した。


「にいに朝から何を騒いで……」


  後に続いて久遠も二階から降りてくると、久遠は目をぱちくりとしている。


「なんで!? なんで瑞希ちゃんがここにいるの!?」


「久遠様……落ち着いて、今日はお礼に伺ったのです。」


「お礼?」


  俺と久遠の声は重なり御嬢瑞希の後ろに待機していた昨日見かけた黒服サングラスの大男が何やらアタッシュケースのような物を机に置く。


「お嬢様が昨日城田彰人様に助けていただいたのを奥様と総帥に話すと、これを渡すように仰せつかりました。」


  アタッシュケースの中身には一万円の札束がぎっしりと詰められていた。


「現金で一億程ですが受け取って下さい。」


  御嬢瑞希は飲んでいたコップの水を机に置いて言ってくる。


  いやいや道案内を助けただけでこれはおかしいって、しかも母さん立ったまま気絶してるし。


「にいにどうゆう事瑞希ちゃんと知り合いなの……」


  久遠は久遠で微笑みを向けてくるが、それが怒っているのは明らかだ、そういえば彼女と知り合っていたのをまだ久遠には話していなかった。


「久遠聞け、昨日はこの子の道案内を助けたそれだけだ。」


「そういえば昨日瑞希ちゃんから、ボテトチップののり塩味分けて貰ったけど、最近のお嬢様でも買うんだねって思ってたけど、もしかしてそれもにいにが?」


「はい、生まれて初めてあんな物が存在したと知り驚いてしまいました、帰ってから他の味もあると知って、すぐに百個取り寄せました。」


「ふーん、でも瑞希ちゃんなら安心かな、多分ありえないだろうし。」


「何がありえないのでしょう。」


「ううんこっちの話、それよりも瑞希ちゃん一緒に食べよう。」


  久遠は御嬢瑞希の席の隣に座り黒服サングラスの大男はアタッシュケースを俺に手渡してきた。


「すみません、これは頂けません。」


  正直受け取りたい気持ちは凄くあるがここで受け取ってしまえば、何か人としてダメなような気がして。


  アタッシュケースは黒服サングラスの大男に返す何も言わずにアタッシュケースを持ち黒服サングラスの大男はまた御嬢瑞希の後ろに待機しだした。


「お母さーん!! 私の分の朝食も早く。」


「母さん言われてるよ。」


  立ったまま気絶していた母さんの肩を揺らし、やっと母さんは正気に戻った。


「はいはい、朝食ねすぐに準備すらから待っててちょうだい。」


  母さんは急いで台所に行き、俺と久遠の朝食の準備を初めていた。


「本当に宜しいのですか、城田彰人様?」


  朝食を食べ終え学校に行く支度が終わると御嬢瑞希と久遠は、御嬢瑞希が乗ってきた車に乗り込んでいる。


「ああ、俺の学校はお前達とは反対だからな、それにこんな車で学校に行けば、変に目立っちまう、それと俺の事は彰人でいい、フルネームで呼ばれるとなんかむず痒い。」


  御嬢瑞希が乗ってきた車はリムジンそのもの、運転手はあの黒服サングラスの大男のようだ、それに先程から近所に人だかりができ遠くからこのリムジンを覗いている。


「ふふっ分かりました、それでは彰人様も気を付けていってらっしゃいませ」


「ああ久遠の事は頼むよ、じゃあな久遠。」


「うん、行ってきますにいに。」


  久遠は朝食の時から話しかけても返してこなかったが、リムジンに乗ってからご機嫌なのかやっと返してきた、リムジンは走り出し見えなくなる。


「今日は昨日みたいに遅刻せずに済みそうだな。」


  携帯で時間を確かめ、まだ学校が始まるまでは一時間程余裕があったが、念の為に歩くスピードをあげて学校に向かう。

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