第2話入学式には遅刻隣の席がヤンキー女子


  結果を言えば入学式に遅刻し担任の先生と初対面の筈が生徒名簿片手に頭を叩かれた、だが手加減はしてくれていたのでそれ程痛くない


「御嬢財閥の娘を道案内してたって別に嘘はついてないのに……」


  教室にいた全員信じてくれず、人間不信になりかけた、だが良かった事は中学校からの男友達とクラスが一緒だった事、まあそれもオタクの友達だが。


「まあ落ち着けって、俺ならもっとマシな嘘つくけどお前、御嬢財閥の娘を道案内って。」


  笑いを堪えながら勝手に隣の席に座るのは中学からの男友達の一人田澤翔也だ。


「お前その席ヤンキー女子の席だろ、勝手に座っていいのかよ。」


「いいの、いいの、チャイムがなって即効どっか行っちまったんだし、バレなきゃ平気だって。」


  どうやら入学式が終わった後担任が席替えをやってくれたようだ、普通は席替えなんてもっとクラスが馴染んでからするものだが生徒の事を担任は分かっているようだ。


  入学式には既に友達になる奴らが多いなので席が近い方が話やすいと担任は考えたのだろう、もしかしたら後々席替えをするのが面倒くさいから最初にやった方が楽だと思ったからなのか。


  もっとも遅刻してきた俺はそんな席替えなんて出来ず、勝手に一番後ろの窓際から二席目に席を決められていた、しかも隣には金髪ヤンキー女子が座っていた。


  これクラスの皆隣になりたくないから、俺を隣に選んだな。


「それよりも今日のあれ忘れずに持ってきたか?」


「ああ……悪いあれ他人にあげちゃった。」


「なっ!? お前まじかよ、あれ食べながら教室でゲームやる約束だろうが!!」


「悪い、また今度持ってくるからよ。」


「たくっ仕方ねぇな、今日はもうプリント貰って終わりだろ、どうする教室で対戦していくか。」


「そうするか、でもどうせお前に負けると思うけどな」


「おう、昨日もお前をフルボッコにする予定のデッキを作ってきたからな。」


 そう言い、制服のポケットに隠していたデッキケースを見せつけてくる。


「甘いぞ、俺もそんな簡単に負けないよう、デッキを編成してきたからな。」


 バッグに仕舞っていたデッキケースを見せつける。


「じゃあ負けた方は、今度のゲーセン奢りな。」


「望む所だ。」


  担任からプリントを手渡されクラスの連中が帰る中教室に残っているのは俺と翔也の二人それと隣に居座るヤンキー女子だけだ、翔也は真向かいの机をくっつけプレイマットを置く、俺もすぐに準備を始める。


「一本勝負で決着でいいよな。」


「ああ。」


  お互い準備が終わり、すぐに始めれる状態だ。


「じゃあコインで先行後攻決めるぞ、どっちにする?」


「俺は裏だ。」


  翔也が指で弾きコインは表になって机に落ちた、どうやら俺が先行のようだ。


「ふん……だから言っただろお前をフルボッコにする予定のデッキだって。」


  結局翔也には惨敗してしまった。


「ん? 悪い親から速く帰って来いって連絡きた、じゃあまたな彰人。」


  翔也は携帯を確認すると早々に片付け、教室から出ていってしまった、俺も机の上を片付け始めようとする。


「ねぇそれって面白いの?」


  急に隣に座っていたヤンキー女子が話し掛けてきた。


「それってこれの事。」


  片付け始めようとしていた机の上を指差す、ヤンキー女子は首を縦に振った。


「まあ面白いよ、中学から始めたけど、これが中々頭を使って勝たなきゃいけなくてさ、しかもすぐに新しいパックがでるから、デッキのバリエーションも変わってくる。」


「私でも出来る。」


「誰でも覚えれば簡単にできるさ、よかったら今度教えてあげるけど。」


「いや、いい別に興味とかないし、それじゃあ。」


  ヤンキー女子は立ち上がり教室から出ていく。


「だったらなんで話し掛けてきたんだ。」


  不思議に思い、担任が教室にやってきて、さっさと帰れと言われてしまったので、片付けて俺も家に帰った。

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