知り合いの女子は全員ヤンデレになった
ミナト
第1話お嬢様を助けて学校に遅刻
ヤンデレそれは精神的に病み恋愛感情が強すぎ人の事。
「絶対だよ!? 絶対浮気なんかしちゃ駄目だからね」
「分かってる、お前以外と付き合うなんて考えてないよ。」
手を握り合い、約束する。
「絶対戻ってくるから、また大きくなってあなたに会いに来るから。」
少女を乗せた車は走り出し、少女は窓から顔を出し叫ぶ。
「久しぶりにこの夢みたな。」
目覚ましのアラーム音が部屋に響き渡り、目覚める、アラーム音を消し部屋は静かになる。
「もう十年前なのに、いまだに夢に見るんだからな。」
少女との約束から十年の月日が流れていた、今俺は高校一年生になっていた。
「あれから一度も連絡とかしてこないから、結局子供の口約束いい加減忘れるべきだな。」
携帯の時間を確認する。
「やべっ!? 入学式早々遅刻はマズイだろ。」
携帯の時間は八時を過ぎていた、ベッドから起き上がりすぐに掛けていた制服に着替える、部屋を出て、リビングに向かう。
「母さん!? なんで起こしてくれなかったって。」
リビングには誰もいない、普段この時間は母さんがいる筈だがと思い、机の上に置き手紙が置いてある。
「娘の入学式と息子の入学式どっちが大切かって考えたら娘よね、だから娘の入学式に行ってくるわ、どうせ寝坊してるんでしょうし。」
確かに寝坊はした、だったら行く前に起こしてくれてもいいじゃないかと考えたが、こんな事考えている暇さえない。
制服には着替えたので昨日用意していたバックを持ち急いで家を出た。
「っと……鍵かけとかないとな。」
家には誰もいないので鍵をかけ、いつも通りポストに鍵を入れ、急いで高校まで走る。
「あの!? 道を聞きたいのですが。」
急いで高校まで向かっていたのだが、急に声をかけられる。
「すみません急いでるので、ここを真っ直ぐいけば交番があるのでそこで聞いて下さい。」
少し立ち止まり、交番の場所を教え、またすぐに走り出す。
「あの服って妹と同じ学校の制服だよな?」
妹は今日から中学生になるのだが、妹が通うのは私立の女子中学校だしかも中高一貫でお嬢様が多いと聞いているので、少し浮かれていないか心配になってしまう。
「はあ……仕方ない。」
走っていた道を戻り、先程交番の道を教えた少女はしょんぼりと電柱に背中を預けていた。
「何やってんだ、さっき教えただろ。」
「あっ!? あのすみません、真っ直ぐ行こうとしたら工事しているらしく通り抜けられなくて。」
「ああ、そういえば道路工事するとかチラシが入ってたな。」
「あんた花菜葛女子中学・高等学校の生徒だろ。」
「はい、今日は入学式で今日に限って車が故障してしまって自分で行くっと言って出てきたのですが迷ってしまって。」
車で行くって事は相当な金持ちのお嬢様だろう、まあここで助けて妹と友達になってくれれば、あいつも安心するだろう。
「なら俺が学校まで連れて行ってやる。」
「本当ですか!! でも急いでいたんじゃ?」
「まあ結局遅れそうだったしいいさ、それに道をこのまま迷ったら、そっちの方が入学式に遅れちまうだろ。」
「なら、お言葉に甘えても宜しいでしょうか。」
「おう、なら手を出せ。」
少女は迷うことなく手を差し出してくる、俺はバックに入れてあったお菓子を少女に渡す。
「今日友達が出来たら、そいつらと一緒に食べな。」
本当は中学の連中と一緒に食べる為に買ったのだが、ここは少女を安心させる為に少女に手渡した。
「これは一体なんでしょうか?」
「はあお前まじで言ってるのか!? これは友達と仲良く食べよう、ボテトチップののり塩味に決まってるだろが。」
「ボテトチップ初めて聞きました、最近はこんなのが売っているのですね、有難く頂きます。」
「ちょっと聞いていいか、お前まさかワグドを知らないとか言わないよな。」
「ワグド? 最近流行の服のお店の名ですかそれは、すみません私の服はオーダーメイドで作らせているのでお店等は疎くて。」
「嘘だろ……」
あの有名なファストフード店を知らないとかどんだけのお嬢様だよしかも服がオーダーメイドとか。
「やっぱお嬢様なんだな。」
「お嬢様とは私の事を言っているのですか。」
どうやら口に出ていたらしい。
「別に不快に思っていません、事実ですから、私の名前は御嬢瑞希、御嬢財閥総帥の一人娘です。」
「御嬢財閥!? 御嬢財閥ってあの建設業やIT企業その他にも色々と発展を繰り返してる、あの御嬢財閥か。」
「ええ、その御嬢財閥です。」
これはやばい人間と関わってしまった、だが今更逃げ出すのも不可能だ。
「学校にはこっちの道を通れば近道だから。」
道案内をしながら少し冷や汗をかく、その原因は先程後ろを振り返った時黒服サングラスの大男が一人こちらを凝視していたのだ。
しかもずっと歩幅を合わせ追いかけているのだ。
「あのさ、もしかして後ろの黒服の人と知り合い。」
指を差し知り合いか聞くと少女が振り返ると同時に先程まで後ろにいた黒服サングラスの大男は姿を消していた、少女はきょとんとして俺の顔を見る。
「黒服の人とはどこにいるのでしょうか。」
「いや、どうやら俺の勘違いだったようだ、さあ行こうか。」
「お嬢様が見知らぬ男と一緒ですどう致しましょう。」
実は俺の耳は少しよすぎたようだ、何故かお嬢様と聞こえてきたし見知らぬ男性とは俺じゃないよね。
「了解しました、尾行は中断、男性の素性を調べ対処します。」
対処、今対処って言った、振り返るがそこには誰もいない、いや、今まで絶対後ろにいたのにどうやって消えるんだよ。
「あのここを右に曲がって真っ直ぐ行けば学校だから、もう大丈夫だよね。」
「ご案内してもらいありがとうございました、よければお名前をお伺いしても宜しいでしょうか、後日お礼できれば。」
「お礼なんていいって、それよりも俺の妹が君と同じ学校に今日入学だからさ、もしよかったら友達なってくれないかな」
「まあそれは驚きです、妹様のお名前は?」
「久遠……城田久遠だ。」
「城田久遠様ですね、お写真などあれば分かりやすいのですが。」
「それならこの前小学校の卒業式で撮った写真だけど。」
つい先日行われた妹の卒業式で携帯で写真を撮っていたのを思い出し、少女に差し出す。
「拝見しました、では久遠様に一度話しかけてみますね。」
「ああ頼むよ、あいつはもしかしたら学校じゃ浮いちまうかもしれないから、あんたが友達になってくれれば俺も安心だ。」
「それでは期待に添えるよう、私も努力致します、では本当に助かりました……あのお名前は。」
「彰人……城田彰人だ。」
「城田彰人様、本当に助かりました、またいつか会える日を。」
少女は頭を下げ、右に曲がり姿を消していく。
「さーて、俺も向かうか。」
入学初日に遅刻なんて考えていなかったが、これも人助けだ、ちゃんと説明すれば許してくれるかもしれないと頭で考えていた。
「あれは浮気だよね、勝手に女の子と話していたんだから。」
彰人と同じ制服を着ている女子生徒は木の下から覗き込み呟くがその声は彰人には届かず、彰人は学校に急いで向かうように走り去っていく。
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