外れレアスキル【暗算】しか取り柄のない僕は、実は【即時演算】という最強のレアスキルを持っていた!【即時演算】で無双したら何故か僕の嫁になりたい女性陣が増えてしまい困惑している。
第4話 【即時演算】という名のチートスキル
第4話 【即時演算】という名のチートスキル
「本当に惚れ惚れするような素早い剣技でしたわ」
どこか誇らしそうにいうヒジリアさん。
「きっとラディスさんは名のある剣士さんなのですわね」
「そうなのですか! 私も見てみたかったです!」
うおお、トレイシーさんの尊敬の眼が痛い。
「ぼ、僕はそんな大したものでは……」
「強いだけでなく謙虚の心まで持ち合わせておられるとは、このトレイシー感服いたしました。この度はお嬢様をお助け頂き、本当に本当にどうもありがとうございました。この感謝の念をどう伝えたらいいものか……」
だからそんな大したことはしていないんだってば。
と、急にトレイシーさんはもじもじし出した。
「あ、あの……ラディス殿。もしよろしければ、でいいんですが。私とお手合わせ願えないでしょうか……」
それを回復博士が笑って茶化す。
「にししっ、手が早いなあトレイシー嬢は。でもこの子はあたしの実験動物だからね。君の相手はできないのよ。ねーラディス君!」
「僕が実験動物?」
なんで突然そんなことに……。というか嫌な響きだな実験動物。
「お断りします。なんで僕が実験動物なんですか」
すると博士は、それはそれは驚いたように目を丸くしたのだった。
「あら? 君、もしかして自分のスキルに気づいてない?」
「知ってますよ。僕のスキルは【暗算】です。珍しいだけで役に立たない外れスキル……なんて言われますけど……」
「【暗算】もそんなに悪いスキルじゃないんだけどね。けど君はもう一つスキルを持っている。いや、そのスキルに【暗算】が内包されてるといったほうがいいのかしら」
と難しいことを言い出したパティ博士だった。
「あの……?」
「君が持つスキルの本当の名前は【即時演算】よ。【即時演算】のなかに【暗算】が入っているの」
「【即時演算】?」
ついポカンとしてしまう。僕のスキルの本当の名前は【即時演算】だって?
……まあ何にせよ、あんまり強そうじゃないなあ。
ヒジリアさんもそう思ったのだろう。
「その【即時演算】というのは、博士がそこまではしゃぐほどの凄いスキルなのですか?」
「君が見た通りだわよ、ヒジリア。ラディス君は一瞬で暗算できるの。しかも頭の中で計算したものが結果として外に現れるのよ」
「「「……?」」」
ヒジリアさんだけではない。僕、ヒジリアさん、トレイシーさん。三人で一斉に首を傾げた。
「具体的に言うと、ゴブリンが千匹いるから七百匹倒したら残りは三百匹だな、と計算してから戦うと、瞬く間に七百匹倒してあっという間に残り三百匹に実際にしちゃう、っていうスキルなのよ」
「「「……?」」」
「ピンとこない? 滅茶苦茶ヤバいスキルなのよ、これ。敵がどんなに多くてもどんなに強くても、頭の中の暗算通りの数になっちゃうんだから」
「すみません。私、計算が苦手なためかピンと来てないです……」
「んー、そうね。ちなみに【暗算】というスキルはレベルが上がるごとに考えなくても答えが出るようになるの。つまりラディス君。キミはね――」
ごくっと唾を飲み、パティ博士の言葉を緊張して待つ僕ら三人。
「……頭の中で計算した分だけのゴブリンを一瞬で倒せるチート野郎だ! 将来的にはその計算も必要なくなるぞ!」
「はぁ?」
意味がわからない。
だって、僕はただ計算しているだけだ。現実が計算結果通りなるなんて当前だろう。
「くくく。本人としては当たり前すぎてピンときてないか。こりゃ実験のしがいがあるねぇ」
「なに言ってるんですか。ラディス殿は私と手合わせするんです! パティ博士は引っ込んでてください!」
「なにをぉ!?」
「なんですか!?」
パティ博士とトレイシーさんが身を乗り出し合い、今にも戦い出しそうな勢いでメンチを切っている……。
「ま、まあまあ。二人とも落ち着いてくださいよ」
「「ラディス殿(君)は黙っててください!(くれる?)」
慌てて仲裁に入ったのだが、双方に止められてしまう僕だった。何故。僕を取り合ってるんではないの?
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