第3話 美少女たちとの合流

「僕はラディス。君は?」


「ヒジリアと申します。助けていただいて本当にありがとうございます、ラディスさん」


「え? 僕はほとんど何もしていないよ」


「ご謙遜を。あなたはこんなに沢山のブリリアントを倒したではありませんか」


「これは君がいてくれたからできたんだよ。僕一人では取り逃がして仲間呼ばれていただろうから。ところでヒジリアさん、怪我とか大丈夫?」


「はい。おかげさまで無傷です」


 よかった。怪我をしてるから脱出魔法使えない、なんていわれる心配はなさそうだ。


「あのさ、さっき君が使ってた魔法って同時に重なってに聞こえたんだけど、あれレアスキルの【多重詠唱】だよね?」


「はい、そうです」


「すごいね、レアスキル持ちなんて! あ、一応僕もか……」


 そのレアスキルを『外れレアスキル』なんて罵倒されて、ついさっきSランクパーティーから追放されたのを思い出してしまった。

 今回だって、なんだかんだいって彼女がいなければブリリアントを倒しきることはできなかったわけだし。やっぱり僕って役立たずなのかな……。


「ラディスさんもレアスキルをお持ちなんですか?」


「まあね。【暗算】ってレアスキル。珍しいだけであんまり役に立たないスキルみたいだけどね……」


「そんなことないです! 私、計算が苦手で。だから【暗算】ができるなんて、凄いと思います!」


「はは、ありがとヒジリアさん。……それよりモノは相談なんだけど、君って高位魔法使えるよね。だったら脱出魔法とか使えたりしないかな。脱出ポーションがあればそれでもいいんだけど……」


「ヒジリアお嬢様!」


 僕の言葉を遮って、ヒジリアさんを呼ぶ声がした。

 女騎士風の少女とローブ姿でも分かるほど胸の大きい少女がいて、二人はこちらに向かってくるところだった。


「あの人たちは?」


「私の護衛騎士のトレイシーと、回復博士のパティ女史です」


 なんだ、ヒジリアさんって追放されたわけではなかったのか……とか思っていたら、


「あっ超レアスキ発見! チェーンオブファンタジア!」


 回復博士のほうが僕を指さして流れるように迷いなく呪文を唱えたのだ。


「え!?」


 僕は即座に光の鎖に拘束されてしまった。

 彼女が唱えた呪文が僕を縛る光の鎖の呪文だったのだろう。


 ……じゃなくて!


「ちょ、ちょっと何するんですか!」


「やったぁ、超レアスキゲット~」


「いや人の話聞いて!」


 回復博士に抗議する僕。

 そんな僕を、女騎士が光る剣で切りつけてきた!


「ふんっ」


「わぎゃっ」


 思わず目を瞑ってしまう。


 何も悪いことしてないのになんでこんな立て続けに追放されたり縛られたり抗議したら切られたりするんだよ!? とさすがに泣けてきた僕だが、次の瞬間、光の鎖はパラりと落ちたのだった。しかも僕に切られたあとは一つもない。


「【弦絶斬ストリング・ディバイド】です。ご安心を」


「それってレアスキルの……」


「はい。光の波動を構成する弦に逆位の振動をぶつけて固定し空間を任意で絶ち斬るというスキルです」


「よく分からないけど凄そう」


 感心する僕にかわり、ヒジリアさんが抗議の声を上げた。


「パティ博士! ラディスさんに謝ってください!」


「は? なんでさ」


「ラディスさんは私の命の恩人です。なのにこんなことしてっ!」


「お嬢様、なにがあったのですか?」


「うん、あのね……」


 と話し始めるヒジリアさん。


「パティ博士が『SSSSSSランク相当の超絶レアスキの臭いがするぜぃ!』とか言って一人で勝手に行動して、それをトレイシーが追って行ったでしょ? 私にここで1人で待つようにいって」


「はい」


「それからすぐにブリリアントが現れたの。うわっこれは狩らなくちゃ! てなって狩ってたら大きな群れだったらしくて次々と仲間を呼ばれちゃって。さすがに処理しきれなくってきたところをラディスさんに助けていただいたのよ」


「そうだったのですか!」


 トレイシーさんは目をキラキラと輝かせた。


「ラディス殿はお強いのですね!」


「え、いや、そんな……」


 なんどもいうけど、僕が強かったというより二人で戦ったら殲滅できる敵なんだよね、ブリリアントって。

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