【20話 受け入れられない現実】
マサルンはたじろぎながらライオンに向けていたクロスボウの引き金を引く。
(……えっ!? ……イポーテャさんがやられた!? ……嘘でしょ!?)
ンザールゥも尻尾を下げながらライオンに近づいた。
(……ミャッ!? ……イポーテャさんが動いてないミャ!? ……そんなはずないミャ!)
ライトニングガン@4をライオンに向けて、引き金を引くンザールゥ。
先端が丸い矢がライオンに向かって素早く飛んで行く。更に、矢を追うように青白い光線も何度も軌道を曲げながらライオンに向かって行った。
そして、ライオンの無防備な尻に矢が衝突し、胴体に青白い光線が着弾する。
悲鳴をあげながら二連続で吹き飛んでいくライオン。
(ンラオイー! 体が痺れる! 痛い! 熱い!)
マサルンとンザールゥも暗闇に吹き飛ばされた。
イポーテャの体がライオンの口から離れて行く。
イポーテャは体勢を立て直すことなく、静かに宇宙に落ちていった。
体勢を立て直し、イポーテャを見開いた目で追いながら叫ぶマサルン。
「イポーテャさーん!」
ンザールゥも体勢を立て直したら、イポーテャを目で追いながら叫び出す。
「イポーテャさーんッ!」
一方、体勢を立て直し、素早く宙を移動してマサルンたちと距離を取るライオン。
(なんなのよっ、せっかく食糧を手に入れたのに落としちゃったじゃない! 許せないわ! それに、ものすごく痛かったわ!)
そして、ライオンは視線をイルカに移す。
(そういえば、まだ弱そうな食糧が居るのを忘れていたわ。あの食糧たちは凶暴で仕留めるのは難しいわ。あの食料を捕まえましょう、逃げられる前にね!)
イルカに向かって凄まじい速度で移動していくライオン。
一方、マサルンは真剣な眼差しをライオンに向ける。
「まずいっ、子供が襲われる!」
目を見開きながら叫ぶンザールゥ。
「子供があぶないミャ、助けるミャ!」
マサルンとンザールゥもライオンを追って素早く空中を移動していく。
マサルンはクロスボウ@5をライオンに向ける。
(止まってくれぇ!)
引き金を強く引くマサルン。
丸い矢が宙に飛んで行くけれど、暗闇に消えていく。
マサルンはライオンを見つめながら顔をこわばらせる。
(これは、本当に危険な状況じゃないか?)
一方、イルカはマサルンの後ろに隠れるように移動する。
(ぎゃっでゅー、殺されるー! 身代わりになってくれよー! ンフィルド!)
ライオンはマサルンを睨みつける。それから、速度を落とさずにマサルンに向かって突き進む。
(これはこれは、珍しい事もあるもんだね。凶暴だと思ってた食糧がわざわざ身を
鋭い眼差しでライオンを睨みつけるマサルン。
(グーが来る確率は二十%でチョキが五十%、パーが三十%か。オレがグーを出せば七十%で
マサルンはクロスボウ@4をライオンに向けながら叫ぶ。
「ンザールゥ、あとは任せた!」
目を見開きながらたじろぐンザールゥ。
「任せたってなんミャ!?」
マサルンはクロスボウの引き金を強く引く。
そして、銃口から丸い矢が放たれ、飛んでいった矢はライオンの顔に着弾する。しかし、矢は弾かれてしまった。
目を見開き、顔を引きつらせながら弾かれるマサルン。
(失敗した、負けの三十%引いてしまった! ンザールゥを真似て引っかき攻撃すればよかった)
ライオンは四本の犬歯を口から見せる。
一方、ライトニングガン@3をライオンに向けるンザールゥ。
「あぶないミャ!」
そして、ライオンはマサルンの腕に噛みつく。
(あぁ、美味しい! でも、油断しちゃダメよ。凶暴な食糧がまだいるわ)
マサルンは顔をしかめさせながら吹き飛び、悲鳴をあげる。
「ぶっでょがぺー!」
後方の暗闇に吹き飛んでいくライオン。
ンザールゥはライトニングガンの銃口をライオンに合わせ続ける。
「マサルン、だいじょうぶミャ!?」
そして、引き金を引くンザールゥ。
青白い光線が放たれると、ライオンの胴体に直撃した。
ンザールゥはたじろぎながら吹き飛ばされる。
一方、
【だぴぃんで!】
ライオンは体勢を立て直し、ンザールゥに視線を向ける。
(この食糧共め、許せないわ! 痛いのよ本当に!)
鋭利な爪を前足から伸ばし、視線をマサルンに向けて再び近づいていくライオン。
そして、ンザールゥも体勢を立て直し、真剣な眼差しをマサルンに向ける。
(このままじゃマサルンもイポーテャさんと同じになっちゃうミャ! そんなのダメミャ!)
握っている
「ミャーゥォン!」
素早く
ライオンは低い声を出しながら吹き飛んだ。
【ぞでゅっぱ!】
暗闇の中を吹き飛んでいくンザールゥ。
(みんなを守るためには、ボクががんばらなきゃいけないミャ!)
ライオンは体勢を立て直し、すぐに体をンザールゥに向ける。
(いたいっ……くっ、あの食糧なにか様子がおかしいきがするわ。でも、そんなことはどうでもいいわ。歯向かうならあんたも仕留めるだけよ!)
(ミャッ! 『別のボク』がパーを出しても勝てないって言ってるミャ。むずかしいけど、信じて頑張るしかないミャ!)
体勢を立て直したンザールゥはライオンを睨みつけ、ライオンに接近していく。
一方、ライオンも素早くンザールゥに向かっていった。
そして、
ライオンも口を大きく開けて、四本の犬歯を見せる。
ンザールゥの振り下ろした
また、
それから、ンザールゥも弾かれて、無防備な隙を晒していく。
(失敗したミャ! 今回はグーじゃなかったミャ。ミャーン、ボクたち負けるミャ?)
一方、ンザールゥの腕に勢いよく噛みつくライオン。
(ンラオイ! 勝ったわ! どれ、ちょっと味見させて貰おうかしら!)
ンザールゥは顔をしかめさせながら暗闇に吹き飛んでいく。
「ミィアーディオ!」
宙に吹き飛ばされるライオン。
そして、マサルンは体勢を立て直し、顔をしかめる。
(いてて……うっ、ンザールゥが頑張ってる、オレもすぐ加勢しないと!)
眉尻を下げ、目を細めながらライオンにクロスボウ@3を向けるマサルン。
それから、ンザールゥは体勢を立て直して勢いよくライオンに向かって進んでいく。それから、指先から五本の鋭い爪を伸ばして、ンザールゥは素早く腕を振り上げる。
「ムャーオゥン!」
体勢を立て直し、静かにンザールゥを見つめるライオン。
(この食糧、さっきより凶暴になってるわ!)
(獣さんには及ばないけど、ボクにも立派な爪があるミャ!)
ライオンは少し離れた宙に素早く体を移動させた。
(危ないっ! この食料、やっぱりおかしい、間違いなく本気を出しているわ!)
爪を勢いよく振り下ろし、暗闇を引き裂いていくンザールゥ。
(ミャー、
ンザールゥはすぐにライオンに向けて宙を移動する。
(逃がさないミャ! 早く追い返さないと、マサルンたちを守れないミャ!)
(すばやいっ!)
マサルンはンザールゥとライオンの争いを見つめながら顔をこわばらせる。
(ンザールゥ、頑張ってるな。いてて……オレも攻撃したいけど、敵も動きが速い!)
毛を逆立てながら尻尾を立てて、ライオンを睨みつけるンザールゥ。
(ミャッ! 『別のボク』が何か言ってきたミャ! チョキは負けないミャ?)
爪をライオンの顔に向けて振り上げるンザールゥ。
一方、ライオンも爪を伸ばし、前足を振り上げる。
そして、ンザールゥの振り下ろした爪が先にライオンの顔に当たった。しかし、その瞬間、互いの体は吹き飛ばされて行く。
それから、ライオンは先に体勢を立て直して、ンザールゥに向かって宙を突き進む。
(あんたには負けないわよ! 同じ匂いがするから仲間なのかもしれないけれど、
体勢を立て直して鋭い眼差しをライオンに向けるンザールゥ。
(ミャッ! 『別のボク』がパーを出せば勝てるって言ってるミャ! 決めるなら今ミャ!)
ライオンは爪を引っ込めた前足を素早く振り上げる。そして、ンザールゥの顔に
一方、指から伸ばしていた爪を引っ込ませ、両手でライトニングガン@2を構えるンザールゥ。
そして、ライオンは振り下ろした前足でンザールゥの顔を殴打する。しかし、前足はンザールゥの顔に触れると弾かれてしまう。
(なんですって!?)
(ボクの勝ちミャ!)
隙を見せて無防備になっているライオン。
それから、ンザールゥはライオンの顔に至近距離でライトニングガンを発射した。そして、放たれた青白い光線が寄り道することなくライオンの顔に着弾する。
ライオンは低い鳴き声をあげながら暗闇に吹き飛んでいく。
【ぎゅでょっぱ!】
また、眉尻を上げながら後方に吹き飛ばされるンザールゥ。
(そのままお家に帰るミャ!)
一方、イルカはンザールゥたちから離れた宙で泳ぎながら、激しい争いをしているンザールゥたちを眺める。
『ピァー、ピィァーッ(こっちに襲い掛かってこない方が頑張れー! ンフィルド!)』
それから、目を見開いてライオンを見つめるマサルン。
(敵に隙が! 今だ、絶好の攻撃の
マサルンはクロスボウをライオンに向けて、引き金を強く引く。
(敵さんよ、おみやげはいかがかな?)
矢が銃口から勢いよく飛んで行き、暗闇を突き進んでいった。
そして、矢はライオンの胴体に直撃する。
ライオンは
【びゅでゃっふぇ!】
眉尻と口の端を上げながら吹き飛んでいくマサルン。
(よしっ、まごころがこもった一撃が当たった!)
それから、体を回転させながら宙を進んでいくライオン。
(体のあちこちが痛い、どうしてこんなことになったの!?)
ライオンは吹き飛びながら体を小さく動かす。
(
そして、ゆっくりと宇宙に落ちていくライオン。
一方、ンザールゥは尻尾を左右にゆっくり大きく振りながらライオンを見下ろす。
(ミャッ! マサルンの攻撃で獣さん追い払えたミャ!)
体勢を立て直し、落ちていくライオンに真剣な眼差しを向けるマサルン。
(えっ……生き抜いた!?)
マサルンは静かにンザールゥの顔を見つめる。
ライトニングガン@1を強く握りしめながらマサルンの顔を見つめるンザールゥ。
そして、二人はゆっくりと近づいて行き、距離を縮めていく。
マサルンとンザールゥは両手を広げると、相手の体を包み込むように抱きしめる。それから、二人は体を小刻みに震わせた。
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