【12-2】
マサルンは商品棚に置かれている、硬そうな装飾をした手袋型の武器を指さす。
「おっ! この武器はンザールゥに似合うんじゃない? なんか野生感が出てて格好良い、かっこ
ンザールゥは手袋型の武器を見つめた。
「ミャーン、確かに扱いやすそうな武器ミャ」
眉尻を下げながら首を横に振るンザールゥ。
「でも、もっと強そうな武器がいいミャー」
「わがままだなぁ、かっこ流し目」
マサルンは小さなため息をつきながら、近くの刃渡り五十センチメートル程の大型刃物を指さす。
「それじゃあ、こっちのチェーンソーにしておく? かっこ冷静」
両手を前に出して、首と一緒に高速で横に振るンザールゥ。
「ミャッ!? 値段が高いミャ! 威力が高そうでボクも使ってみたいミャ。でも、ボクの持ってる電池じゃ買えないミャ」
「出来ればこれをンザールゥに振り回して貰ってオレの事を守って欲しいんだけどなぁ、かっこ
「守ってあげたいミャ、でも違う武器にして欲しいミャ」
マサルンは商品棚に並べられている、刃渡り二十センチメートル程の細めの刃物に人差し指を向ける。
「だったら、シンプルにこの
眉尻と尻尾を下げながら顔をしかめるンザールゥ。
「ボクは電池に余裕がないミャ、一本で許して欲しいミャ」
マサルンは拳を
「口にも
「一本で許してミャー」
腕を組みながら小首を
「でも、全身を
ンザールゥは硬い笑みを作りながら人差し指を立てる。
「一本だけで許してミャー。代わりに、グーの
「パーはどうするよ? 敵のグーが来たらンザールゥが不利になっちゃうよ? かっこ冷静」
眉尻を下げながらたじろぐンザールゥ。そして、近くの商品棚を見渡し、全長二十センチメートル程のライトニングガンを見つめた。
「ミャー! 保険にこの十電池のライトニングガンでパーを補強するミャ」
「遠くから
ンザールゥは眉尻を下げながら頭を掻く。
「ミャーン、大きすぎても荷物が多くなって動きが鈍くなっちゃうミャ」
「ンザールゥはどんくさいから、いっぱい武装しても元と変わらないでしょ、かっこ真顔」
「ボクは身軽の方が好きミャ。あと、どんくさいってのは訂正して欲しいミャー」
「はい! 訂正します! ンザールゥはのろま! かっこ笑い」
ンザールゥは手袋型の武器を指さしながら微笑む。
「マサルンはボクよりもすばしっこく動けるミャ。だから、あの武器はマサルンの方が相性よさそうミャ! 凶暴な敵に近寄っていって、こてんぱんにするミャ!」
目を見開きながら背筋を伸ばすマサルン。それから、親指を立てる。
「ンザールゥはてきぱき行動が出来て、華麗で素敵です! かっこ決め顔」
「ボクの偉大さに怯えてしまうマサルンにお似合いの武器があったミャ」
ンザールゥは
「遠くで体を震わせながら戦える良い武器ミャ」
真剣な眼差しを全長五十センチメートル程のクロスボウに向けるマサルン。
「クロスボウかぁ。確かに遠くから攻撃が出来るから安全性は高いよね、かっこ冷静」
ンザールゥは小さく笑いながら軽く
「しかも、値段がそんなに高くないからボクたちでも買えるミャ」
「高くないって言っても、十電池もするじゃん。オレの持ってる電池じゃクロスボウ一個買っただけで買い物が終わっちゃうよ、かっこ涙目」
「命に比べたら安すぎるミャ」
クロスボウの近くに並べられている、全長八センチメートル程の矢を眺めるマサルン。
「それを言われたら何も言い返せない。それより、矢もイイ値段してて目から液体が出ちゃいそう、かっこ苦笑い」
ンザールゥは親指を立てながら眉尻を上げる。
「鋭い矢尻のチョキと先端に丸い金属が付けられたグー、二種類の矢が使えて便利ミャ」
「パーは!? ンザールゥだけ使えてオレは使えないのは不安でしかないよ! かっこ冷や汗」
「そこは我慢するしかないミャ」
持っているライトニングガンを見せつけるンザールゥ。
「でも、ボクが一緒に居るミャ。パーならボクに任せるミャ」
マサルンは硬い笑みを浮かべながら細めた目をンザールゥに向ける。
「ライトニングガンを持ってるのがンザールゥじゃなければぁ信頼出来たんだけど、かっこ流し目」
目を見開きながらたじろぐンザールゥ。
「そんなにボクが頼りないミャ!?」
「頼りなさ過ぎるよ。だから、弾倉を一個ほど追加で買っていこう、かっこ冷静」
マサルンはクロスボウを拾い上げる。それから、丸い金属の矢尻が詰まっている一電池の弾倉一つ、鋭い矢尻が入っている一電池の弾倉二つ、合計三つの小箱を掴み取る。
尻尾と眉尻を下げながらため息をつくンザールゥ。
「悲しむのは今はやめておくミャ」
ンザールゥは小首を
「それより、マサルンの残りの電池は大丈夫ミャ?」
「正直もう余裕は無いかな、かっこ涙目」
微笑みながら拳を突きあげるンザールゥ。
「余裕ないかもしれないけど、残った電池で傷薬を買うミャ」
「あっ、ンザールゥは知らないんだ? ふーん、かっこ
「ミャ、何のことミャ?」
「なんで傷薬を買おうとしてるのさ? かっこ冷静」
「アーノルド君が怪我してたら使ってあげたいミャ。それに、見つけるまでの道中で怪我したらボクたちも使うミャ」
マサルンは眉尻を下げながらため息をつく。
「その考え方が既にダメなんだよ、かっこ苦笑い」
頭を掻きながら呟くンザールゥ。
「マサルンがなに言ってるのかよく分からないミャー」
「なぜ怪我することを前提に物事を考えているんだ? かっこニヤリ」
「お外には危険な生き物がいるミャ。襲われたら怪我する可能性はゼロじゃないミャ」
マサルンは腰に手を当てながら胸を張る。
「ハッハッハッ、危険な生物がオレ達に襲い掛かって来たとしよう。だったら敵の攻撃を全て避けてしまえばいいんだよ、そうすれば怪我なんてしない。結果傷薬も必要じゃなくなるし、電池も節約できる! かっこ決め顔」
目を輝かせながら二つの拳を顔の近くに作るンザールゥ。
「ミャー、ボクにはそんなこと考えること出来なかったミャー、やっぱりマサルンはすごいミャー! って言いたいミャ。だけど流石に無傷で戦闘を済ませれるとは思えないミャ」
マサルンは笑顔を浮かべながら人差し指をンザールゥに向ける。
「いんや、偉大なるンザールゥの活躍があれば不可能ではないね! かっこ決め顔」
頭を掻きながら引きつった顔を作るンザールゥ。
「そんなすごいことは出来ないミャ、ボクに期待し過ぎミャ」
「オレは食料の方が大事だと思うよ。だって、ンザールゥがお腹を空かせてしまえば戦闘力が下がってしまい、結果的にオレたちが無事に生きて戻れる確率は
「とても頭がよさようなこと言ってるけど、なぜかボクの心が少し動揺してるミャ」
マサルンは口に手を当てて目を見開く。
「まさか、食べ物の話をしただけでもうお腹を空かせてしまったとか? さっき夕ご飯食べたばかりでしょ! かっこ苦笑い」
「誰もそんなこと言ってないミャー」
「仕方ないなぁ、腹ぺこンザールゥと腹ペコかもしれないアーノルド君のために食品売り場に移動しよう、かっこ冷静」
マサルンとンザールゥは両手に武器を抱えながら店の天井を見上げた。それから、『食品』と書かれている案内板に向かって歩いていく。
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