【10話 マサルンの部屋】
マサルンの部屋の中には収納家具や、様々な道具が並べられている棚が
ンザールゥは手に持っている緑色の四角い箱を小さく揺らしながら、マサルンの部屋に置かれている物を見渡していた。
そして、四角い箱の中に入っている何かが、部屋に小さな雑音を響き渡らせていく。
眉をひそめながら部屋にある小物を睨むンザールゥ。
「ミャー、マサルンの部屋は面白い物が無くてシンプルミャ」
マサルンは細めた目をンザールゥに向けた。
「それって褒めてるのかよく分からないんだけど、かっこ冷や汗」
「ミャッ!? ボクのお部屋と違って、綺麗に片付いてるミャー」
マサルンは口に手を当てながら言葉を漏らす。
「なになに、ンザールゥの部屋はもしかして汚れてるの? あ、もしかして自分の抜け毛で床が見えなくなってるとか? かっこニヤリ」
「抜け毛が一本も落ちてないって事はないミャ。でも、ボクもちゃんと綺麗になる様にお掃除はしてるミャ」
腕を組みながら何度も
「代わりに、食べかすとかが落ちてそうなのは容易に想像できるよ、かっこ流し目」
ンザールゥは尻尾を垂らしながら肩を落とす。
「ミャーン、そこまで言うんだったら、今度ボクのお部屋に確かめに来るミャ」
「うーん、また体が
机の上に散らばっている高さ五センチメートル程のンサ電池を二個ほど掴むマサルン。そして、もう片方の手に持っている直径三十センチメートル程の黒い鞄に放り込んでいく。
一方、ンザールゥは頬に指を当てながら首を
「またってなんミャ? 前に来た時も体が
「そうなんだよ。理由はよく分からないんだけど、体のあちこちが
「そんな事になってたなんて知らなかったミャ。でも、マサルンがボクのお部屋に来た日も次の日も平気な顔してた気がするミャ」
机の上に散らばっていたンサ電池を鞄の中に全部仕舞い終えるマサルン。そして、無表情のままンザールゥの近くまで寄っていく。
ンザールゥは目を見開きながら引きつった顔を作る。
「ミャ、ごめんミャ! きっと、我慢してたんだミャ! 平気だったわけないミャ!」
ンザールゥが持っていた四角い箱を、優しく奪い取るマサルン。
「これ、必要だから、かっこ真顔」
ンザールゥは小首を
「その箱には一体何が入ってるミャ?」
「ンサ電池が数本入ってるよ、かっこ冷静」
「なるほどミャー」
「ンサ電池が中に入ってるか確認する為に、音を立てて調べるわるい泥棒猫が部屋に紛れ込んだと思ったけど、違ったの? かっこ流し目」
ンザールゥは頬を
「もしボクが電池が足りなくて困ってたとしても、他人の物は
「へぇ、なんかさっき箱の中にンサ電池が入ってるのを知った時、こっそり
「たとえ目の前に無防備なンサ電池が置かれてても、
「と言いつつ、誰も見ていない隙にこっそり自分のポケットにしまっちゃうのがンザールゥの可愛いところなんだよなぁ、かっこ
眉尻を上げながら拳を振り上げるンザールゥ。
「褒めてるような言い方だけど、全然褒めてないミャー!」
マサルンは緑の四角い箱を開けて、黒い鞄の上で
箱の中からンサ電池が数本落ちていき、黒い鞄の中に吸い込まれて行く。
それから、ンザールゥに向けて微笑むマサルン。
「よし! オレの部屋にある電池は全部鞄に詰め込んだよ! かっこ決め顔」
「了解ミャ!」
額に手をかざしながら周囲を見渡すンザールゥ。
「他に忘れ物は無いミャ?」
マサルンは親指を立てながら笑顔を浮かべる。
「多分、大丈夫! もし大丈夫じゃなかったら、買う! かっこ冷や汗」
尻尾の先の小さく揺らし、眉尻を下げながら頭を掻くンザールゥ。
「ミャー、ボクは節約した方がいいと思うミャ。でも、マサルンがそれでいいなら何も言わないミャ」
「でさ、ちょっとンザールゥに聞きたい事があるんだけど、いいかな? かっこ冷静」
「ミャ? どうしたミャ?」
マサルンは鋭い眼差しをンザールゥに向ける。
「なんでオレの部屋に居るの? かっこ真顔」
目を見開きながらたじろぐンザールゥ。
「ミャッ!? どういう事ミャ!?」
「いや、オレが準備している間にンザールゥも一旦家に帰ってさ、準備とかできたでしょ? かっこ冷静」
ンザールゥは腕を組みながら小首を
「ミャ? ボクもなんでマサルンの部屋に居るのか分からないミャ」
「急いでるのに、なんでオレの部屋でのんびりしてるんだよ! かっこ冷や汗」
眉尻と尻尾を下げて頭を撫でるンザールゥ。
「ごめんミャ、ボクが間違っていたミャ」
マサルンは扉に向かいながらンザールゥに手招きする。
「アーノルド君が危ない状況なんだ、ほら、急ぐよ! ンザールゥの家に向かおう! かっこ冷静」
眉尻を下げながら頭を抱えるンザールゥ。
「アーノルド君には時間が無いミャ。でも、ボクの間違いで時間を無駄にしてしまったミャー」
「だから、早く移動しよう、かっこ冷や汗」
「さっき食べたお夕飯分は頑張るミャ」
マサルンとンザールゥは部屋から出ていき、小走りで玄関へと向かっていった。
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