【5-2】

 マサルンとンザールゥは警察署から少し離れた場所まで歩いていく。


 そして、マサルンは目を細めながら口をとがらせる。


「警察の人って正義の味方のように思ってたけど、なんか冷たい人達だったね、かっこ流し目」


「人手が足りないから仕事が遅くなるのは仕方ないミャ。それに、ボクたちは本当に無関係者ミャ」


「それにしても、少しくらい優しいところ見せてくれてもいいじゃん? 迷惑そうに対応されたら泣きたくなっちゃうよ。あ、本当に涙出そう、かっこ涙目」


 眉尻を下げながら目の下に手を当てるマサルン。


「泣いていい? かっこ涙目」


「我慢する理由は無いミャ」


 マサルンは両手を軽く前に差し出す。それから、十本の指をそれぞれなめらかに動かしながらンザールゥに近づく。


「じゃあお言葉に甘えて、ンザールゥの胸の中で泣かせてもらうよ、かっこ微笑ほほえみ」


 後ろに大きく跳んで逃げるンザールゥ。


「そこまで言ってないミャ! しかも気持ち悪い顔になってるミャ!」


「それなら、素敵な笑顔のままンザールゥの温もりの中で涙を流させてくれ、かっこ笑い」


「もっとわるくなってるミャ!」


 首をかしげながら腕を組むマサルン。


「……で、警察から情報貰えなかったけど、次はどうしよっか? かっこ真顔」


「ミャー、サラさんのおうちのご近所さんを回って情報集めてみるミャ」


「あのさ、今思っていること言ってもいいかな? かっこ冷静」


 ンザールゥは頭の後ろで手を組みながら微笑む。


「ミャ? ダメって言ったらどうするミャ?」


「強行突破して、そのまま口に出しちゃうね、かっこニヤリ」


「なんでわざわざボクに質問したミャ!?」


 小さなため息をつきながら肩を落とすンザールゥ。


「それで、何を思ってるミャ?」


 マサルンは両手で顔をおおい隠す。


「なんか、真面目なこと言ってるンザールゥが、らしくない、かっこ涙目」


 尻尾を下げながら目元に手を添えるンザールゥ。


「ボクが真面目なこと言っちゃいけないことに涙を流したいミャ」


 マサルンとンザールゥは顔をしかめながら体を宙に浮かばせ、空の中を飛んでいく。

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