【2-4】

 ンザールゥは両腕を横に伸ばしながら用具置き場に置かれたたくさんの品物を見渡していく。


 そして、荷物の中から二メートル程の細長い釣り竿を取り出そうとする。


「釣り竿一本貸して欲しいミャー」


 マサルンはかわいた笑みを浮かべた。


「いいよ。でも、レンタル料が発生しますが、よろしいですか? かっこ笑い」


 ンザールゥは目を見開きながら尻尾を左右に激しく振る。


「いつからそんなケチンボになったミャ!?」


「たった今そういう制度が決まった所です、かっこ微笑ほほえみ」


「家まで戻るのが手間ミャー、お願いするミャー」


 マサルンは腕を組みながら目を細める。


「どうしても借りたいの? かっこ冷静」


 眉尻を下げながら顔の近くで手を合わせるンザールゥ。


「タダで貸して欲しいミャ」


 マサルンは微笑みながら親指を立てる。


「オレは優しいからね、困らせる事はしないよ、かっこ決め顔」


 両手をあげて小さく飛び跳ねるンザールゥ。


「やったミャー!」


 マサルンは人差し指を立てながら語りかける。


「お客様、ただ一つ問題がございまして、かっこ冷や汗」


「ボクが釣り上げた獲物を寄越よこさないといけないとかミャ?」


「釣りで使う餌くらいは自分で用意してよ。餌まで分けちゃったら、すぐにゴーホーム帰宅だよ。せっかく釣りに行くんだったら、なるべく長くしたいでしょ? かっこ微笑ほほえみ」


 肩を落とし、眉尻と尻尾を下げるンザールゥ。


「珍しく正論言われちゃったミャ。……ボクも家に戻って準備してくるミャー」


「珍しくって何だよ、かっこ冷や汗」


 マサルンはかわいた笑みを浮かべる。


「あ、ンザールゥは重力じゅうりき使わないで跳躍して島渡ってきてね、かっこニヤリ」


 尻尾をくねらせながら頬をふくらませるンザールゥ。


「ミャー、そんなことできないミャー。ボクも重力じゅうりきでお空を移動するミャー!」


 そして、ンザールゥの足がゆっくりと地面から離れていく。それから、宙に浮かび上がったら、体を移動させていき空の中を進んでいった。

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