【2-2】
マサルンは顔の近くで手を合わせる。
「そこを何とか頼むよ! もう一回だけ勝負してくれ! かっこ涙目」
頭の後ろで手を組み、口を
「お願いする人の態度じゃないミャー」
「もう一回、オレにチャンスを与えてくれませんか?
「なんだか、からかわれてるように感じたミャ」
ンザールゥは眉尻を下げながら微笑む。
「でも、ボクは優しいからもう一回だけなら許してあげるミャ」
「オレが言うのは良いけど、自分で優しいって言うのは違くないですか? かっこ真顔」
腕を組みながら顔を背けるンザールゥ。
「やっぱり、もう一回勝負するのやめるミャー。ボクの勝ちミャ」
マサルンは硬い笑みを浮かべながら頬の近くで手を合わせる。
「全てを見通すンザールゥが自分の事を優しいと分析できたなら、ンザールゥは優しいです! かっこ笑い」
「ボクはそんなに万能な存在じゃないミャ」
口を
「ただ、もう手を使ったじゃんけんはしないミャ」
「ぐでゅっ? それって、つまり、次は顔を使ってじゃんけんするって事ですか? 斬新な発想が出来るンザールゥは凄いよ、かっこ苦笑い」
「確かに顔を使ったじゃんけんは斬新ミャ。でも、今回はそんな変な事しないミャ!」
ンザールゥは拳を素早く前に突き出す。
「実戦形式で勝負するミャ!」
「今から殴り合いの喧嘩するってこと? かっこ真顔」
両腕を前に突き出し、手を左右に振るマサルン。
「そこまでしたくないよ、かっこ冷や汗」
ンザールゥも両腕を前に伸ばし、左右に手を振る。
「そんな危ないこと考えてないミャ、力を抜いて叩き合うだけミャ」
目を細めながらンザールゥを見つめるマサルン。
「とか言って、ンザールゥだけ本気で叩いて来るんでしょ? 分かってるよ、かっこ涙目」
ンザールゥは頭を搔きながら小さな笑顔を作った。
「ミャーン、ちょっとした遊びをするだけミャー。どちらかというと、マサルンの方が力を込めて叩いてきそうミャ」
「こんな優しいオレがそんな事すると思うか? かっこ冷静」
素早く
「思うミャ」
「そっか。まぁ、いいや、戦いのときにオレが本当に優しいってところを見せつけてやるからさ、いいよ、かっこ真顔」
マサルンは腕を組みながらンザールゥを見下ろす。
「ンザールゥの希望通り、激しい実戦形式のじゃんけんをしようじゃないか、かっこニヤリ」
眉尻を下げながら硬い笑顔を浮かべるンザールゥ。
「ゆるーい実戦形式のじゃんけんミャ。もし強い攻撃してきたら、一カ月間マサルンの食事はボクが貰うミャ」
マサルンは素早く手を真っすぐ上げる。
「先生、オレに空腹のまま一カ月も過ごせって言うんですか!? かっこ涙目」
「軽い攻撃すればいいだけミャ」
頬に指を添えながら小首を
「……質問するって事は、もしかして強い攻撃するつもりだったミャ?」
「強い攻撃に入るか分からないから聞きたいんだけど、パーの抱きつき攻撃はしてもいいの? かっこニヤリ」
ンザールゥは小さな笑みを浮かべながら親指を立てる。
「強く抱きしめなければ問題ないミャ」
顔の近くに両手を移動させて、五本の指をそれぞれ細かく動かすマサルン。
「それじゃあ、遠慮なく使わせて頂きます、んぐふんぐふ、かっこニヤリ」
ンザールゥは眉尻を下げながら顔を引きつらせる。
「ミャーン、なんだかイヤな予感するから、マサルンは甘噛みのパーにして欲しいミャ」
両手を口に見立てて何度も宙に噛みつくマサルン。
「分かった、甘噛みを使っていくよ。じゃあ、ンザールゥのお耳を優しくはむはむすればいいんだね? かっこニヤリ」
ンザールゥは素早く両耳を手で押さえる。
「お耳はむはむ禁止ミャ!」
指で作った口を開閉させながらンザールゥの尻尾に向けるマサルン。
「じゃあ、尻尾ハムハム? かっこニヤリ」
ンザールゥは眉尻を下げながら尻尾を両手で押さえる。
「できれば腕とかにして欲しいミャ」
目を細めながら小さなため息をつくマサルン。
「仕方ないなぁ。その太い腕にかぶりつくので我慢するかぁ、かっこ流し目」
ンザールゥは顔をこわばらせながら腕を握りしめる。
「どう見ても、細くて美しい腕ミャ」
「自分でそれを言う? かっこ流し目」
首を
「ミャッ、なんだかマサルンが強制的にボクのいうこと聞いてくれる気がしてきたミャ。なんでかミャ? マサルンは分かるミャ?」
「分かりません! なので、別の質問をさせてください! かっこ冷や汗」
マサルンは腕を真っすぐ上に伸ばす。
「
尻尾をくねくねと曲げながら微笑むンザールゥ。
「使わないでじゃんけんするミャー。簡単に攻撃を
(隙を発見、攻撃のチャンス!)
マサルンは突然拳を握りしめ、勢いよくンザールゥに向かって走っていく。
一方、目を見開きながらたじろぐンザールゥ。
(『別のボク』が、チョキを出したらダメって言ってるミャ! じゃなくて、まだ喋ってる途中ミャ!)
マサルンは腕をゆるやかに正面に突き出し、ンザールゥの胸部にぶつけた。
そして、ンザールゥは後方に吹き飛ばされて行く。
一方、ンザールゥと反対方向に吹き飛ぶマサルン。
ンザールゥは体勢を立て直し、尻尾を左右に激しく振りながらマサルンを睨みつける。
「まだボクが説明してるところミャー!」
体勢を立て直し、ンザールゥに向けて叫ぶマサルン。
「実際の戦いではそんな事は通じないよ? 敵は待ってくれない。これは実戦形式なんでしょ? かっこニヤリ」
「マサルンの言ってる事は正しいミャ。でも、言わなくても分かる事もあるミャ」
マサルンは顔の近くで手を合わせる。
「まぁまぁ、ごめんって。でも、細かい決まりは把握できたから、今から
尻尾を下げながら肩をすくめるンザールゥ。
「ミャーン、仕方ないミャ、油断してたボクがわるいミャ。でも、もう隙を見せないミャ、負けないミャ!」
「オレだって負けないぞ! かっこ笑い」
「ボクも負けないミャ!」
マサルンはンザールゥを見つめながら拳を掲げる。
「いやいや、オレも負けない! かっこ
尻尾をくねくねと曲げながら、拳を掲げるンザールゥ。
「ミャーン、ボクが勝つミャ!」
(さて、ンザールゥはどんな攻撃を仕掛けてくるんだろうか?)
(ミャー、マサルンはどう攻撃してくるミャ?)
マサルンとンザールゥはしばらくの時間見つめ合った。
静寂な時間が流れていき、小さな風が赤い髪と青い髪を揺らしていく。
そして、ンザールゥは人差し指をマサルンに向けながら尻尾を左右に激しく振る。
「早く攻撃仕掛けてくるミャ!」
ンザールゥに人差し指を向けるマサルン。
「いやいや、ンザールゥが早く攻撃仕掛けて来てよ!」
ンザールゥは肩を落とし、尻尾も下げる。
「ミャーン、これじゃあ、じゃんけん始められないミャー」
「でゃっでゃっでゃっ、安心して、かっこ
腰に手を当てながら硬い笑みを浮かべるマサルン。
「オレにいい考えがあるからさ、かっこニヤリ」
「わるい考えの間違いじゃないミャ?」
「こんな時に鋭いな! かっこ冷や汗」
「さっき突然攻撃仕掛けてきたミャ、警戒しちゃうミャ」
「正解! そして、今回もオレの奇襲攻撃から戦闘開始だー! かっこニヤリ」
マサルンは
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