第2章
2-1
あれから数カ月が
玄関ホールに置かれている姿見で身なりをチェックする。
スカート、リボン、
さて、今日は入学式。
自分の
今日から新しい学園生活が始まるんだと、胸を高鳴らせて──。
「──よう、祀莉」
「!?」
学園の送迎に用意された車へ向かおうと駐車場に足を向けた時、聞き覚えのある男の声が耳に届いた。トラウマを
(な、なんでいるんですか……!?)
「……
父親同士の仲がよく、幼い
同じ小学校に入学させられ、六年間同じクラスで過ごした。当時から勉強もできればスポーツでも活躍を見せた彼は、この時すでに王様気取りでクラスを支配していた。
生徒どころか先生までもが彼を
おかげで小学校では友達ができず、六年間を
──その男が目の前にいる。
「おはようございます、要。あの、どうして我が家に?」
「今日から同じ高校に通うんだ。お前が遅刻しないように毎日迎えにきてやる。ありがたく思え」
そう言って
(……今日も
口に出して言いたいが、それをするには祀莉は小心すぎた。
昔から気の小さい祀莉は要に逆らえずにいる。
いつ彼を
中学で離れた三年間、顔を合わせる回数が
(むしろ三年間で
要の恐怖政治はトラウマものだった。
「ほら、行くぞ」
「……」
一方的な言い方にムッとする。
早くしろと目で
(わたくしにとってはかなり勇気がいることなんですよ……!)
いつまでたっても動かない祀莉に「仕方ねぇな……」と要が
近づいてきた要に
(なぜ要と
まぁでも、どうせこれが最初で最後だろう。
今日だけの
家の体裁のために車を使っているだけなので、学園までの
学園に近づいていると思うと、どうにも落ち着かなくてそわそわしてしまう。
「何
「だって……」
これから何が起こるかなんて知らない要が、緊張した面持ちの祀莉を見て鼻で笑った。
(だってわたくしの出番が
今日は要とヒロインが出会う重要な日。
いったいどんなトキメキを見せてくれるのだろうか。
冒頭しか読んでいなかったが、ヒロインは素直で
俺様で意地悪な要と並ぶとまるで対照的な二人だが、そこがまたいい。
きっと純粋なヒロインが、要を変えていくのだろう。その過程が楽しみでならない。
うっかり
(今日だけはしっかりやらなくては! 頭の中でシミュレーションしておきましょう!)
そんな悪役令嬢を演じないと、と意気込んだ──が、
(……失礼な態度ってなんでしょう?)
小説はヒロイン視点で書かれていた。本人は失礼な態度をとったことに気づいていない。ただ要を見ていただけなのに、いきなり祀莉に
(失礼な態度……それがわからないと何もできないんですけど。えっ、わたくしは何をすればいいんでしょうか……!?)
祀莉が
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