ミイラ研究家

・・ミイラ研究家・・

石原真理子32才、彼女はみずからをミイラ研究家だと名乗っていた。私は大学時代に考古学を専攻していて ”ミイラ研究家”の言葉に強く引き付けられたのだ。


・・ミイラ研究家・・

海外なら良く聞くのだが日本で聞くのは初めてだった。おそらく彼女は海外でミイラを研究しているのだろう。しかし、石原真理子はどういう経過でミイラにハマったのかとても気になった。



男女の交際のきっかけは出会いサイトが主流になった。今や結婚するカップルの43%以上は交際サイトで出会っているのだ。私は考古学に興味を持つようなオタクで一人暮らしは平気だったのだが 30才を過ぎて彼女の居ない生活に少しばかり焦りを感じていた。そこで私も遅ればせながら ”ペアーズ”に登録したのだ。


交際サイトやマッチングアプリは多いのだが、ペアーズは登録者数が多い。 私のような考古学オタクでも興味を持ってくれる女性がいるのかも知れない・・そんな淡い期待を持ってペアーズに登録したのだ。その考えは大当たりだったようで、なんと登録したその日に プロフィール検索で彼女を見つけたのだ。

・・ミイラ研究家・石原真理子32才・・


私は石原真理子にメッセージを送った。

「初めまして、私は海原うなばら海渡かいとと申します。大学時代は考古学を専攻していた考古学オタクです。ミイラ研究家の文字に引き付けられました(笑) 宜しければ絡んで頂けないでしょうか。」

するとその日の内に返信が届いた。

「考古学を専攻なさっていたのですね!私はそういう男性が大好物なんです!(笑)ぜひお付き合いしたいです。」


交際サイトと言えども、皆が使い慣れた現在では 皆の求める基準が高く簡単には相手が見つからないと友人から聞いていたので正直言って拍子抜けでだった。真理子と私は数回のデートで深い関係になってしまったのだ。

真理子は私にはもったいないほどの良い女で 何事にも積極的でいつも私が振り回されるのだが、何故か私にはそれが心地良かった。それが相性が良いという事なのだ。


    ◇    ◇


「今度の連休にね、東北のある遺跡にミイラを探しに行くのだけど、あなたも行くでしょう?」


「え!ミイラって探せば有るものなの?」


「昔の事なのだけど、十穀絶じゅっこくだちで体から余計な脂肪や水分をできる限りそぎ落としてみずからミイラになる修行が有ったのよ。死んだ後に内臓が腐敗したり、虫がわくのを避けるために 毒になるうるしの樹液を飲んでみずからミイラになるという 物凄い修行が流行はやった時代があったのよね。」


「あ~!それ、僕も知ってるよ。即身仏そくしんぶつというやつだよね。でも即身仏そくしんぶつはお寺に仏として祭られているだろう?」


「そうだけどね・・掘り起こされずに石室の中で朽ちたものも有って、たまたま発見されることも有るのよ。そう、私がたまたま発見したものが有って それを今度の連休に調査したいのよ。まだ発表前だからアナタと二人で行きたいのよね。」


「あ~行く行く! 面白そうじゃん。」


「一緒に行ってくれるの?! 嬉しい。ねえ海渡かいと・・こっちに来て・・」


真理子は変な癖がある。

ミイラの話になるといつも発情するのだ。変に積極的になり私を押し倒し 騎乗位で私を責めるのだ。

真理子の良く発達した太ももと胸が私を組み敷いて揺れると 私は何も出来ず ただ快感の中をさ迷うだけなる。そうなれば体も意思も彼女の思いどうりで 私は奴隷に成り下がってしまうのだ。 そして それが心地よくて 彼女の為なら死んでも良いとさえ思えるのだ。このまま彼女の為なら死ねると・・・


「レンタカーが借りてあるの。山形県までだから少し遠いけど山形にホテルも予約してあるし 旅行も兼ねて楽しみましょうよ。」


「山形県と言えば果物が有名だろう?僕はラフランスに目が無いんだ。美味しいやつが食べられそうだなあ・・」


「私は道の駅も寄ってみたいなあ。今回の調査の近くに面白そうな道の駅が有るのよね・・ 今度の連休は楽しみだわ・・」

裸の彼女は窓辺に立ち 遠くを見るような目線でそう言った。セックスの後の真理子はとても美しい。窓から入る光は逆光となって彼女の体を浮かび上がらせ、その横顔は透き通るように輝いて まるで天使のように見えるのだった。



    ◇    ◇



そのお寺は朽ち果てていた。村人は既に去り廃村になっていて お寺を訪れる人も無かったのだ。


「周りの住宅はもう廃屋になっているのにこのお寺はまだしっかりしているんだねえ。」


「そうね、作りは古いけど良い材が使われているし 手入れも最近までされていたのでしょうね・・ねえ、こっちよ来て・・この床下が開くのよ。」


木で作られた床板を開くと 床下には石積で作られた通路が有り、その通路は斜め下に石段で降りて行けた。そしてその先に人が中腰で入れるほどの石室が有ったのだ。私はライトで石室の中を照らしながら言った。

「この石室は大きいよね、普通は人ひとりが入れる大きさなのだろう?」


真理子が石室の中に入ったので私も後に続いた。

「そうよね普通の石室では無さそうね・・それよりこれを見て。この木の蓋を開けるとミイラが有るのよ。」

真理子はそう言って石室の奥にある木で出来た蓋を開けた。


そこには布で覆われたミイラが有ったのだ。

しかしそれは何百年も経ったミイラのようではなく、まだ新しいもののように見えた。

「ね!変でしょう?まだ新しいのよ。」

と真理子が言う。


「確かに変だねえ・・それに匂いがしないだろう?変に清潔な感じがするって逆に変だよね・・しかし誰が何の為に・・」


その時だった・・

真理子が発情したのだ。

「だめ・・私、ミイラを見ると我慢出来ないの・・」


「待ってよ。何もこんな場所で・・」


しかしこうなると真理子は止められない。狭い石室の中で彼女は私を組み伏せたのだ。いくら何でもこんな場所でと思ったが・・いつもの事だ・・私は真理子に逆らえない。彼女は発情すると妖艶な雌に変身するのだ。

そうなると私は逆らえない・・


・・私は彼女の欲望を満たすために存在するのだ・・

興奮して頬を赤らめた彼女は言った。

・・あなたは今日・・私の赤ちゃんを妊娠するの・・

・・赤ちゃんはあなたの血液で成長するのよ・・

・・だから直ぐにミイラになっては駄目なのよ・・

・・ゆっくり・・

・・死なないようにミイラになるの・・

・・私の為なら死ねるでしょう?・・


・・真理子の為なら死ねるよ・・

・・こんな幸せな事は無い・・

・・有難う、真理子・・

・・僕は真理子を愛してる・・


私は恍惚の中で幸せの深みへと落ちて行ったのだ・・・

















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