第30話 夢落ちと幹部会議

気がつくと視界は真っ黒だった。自分を包み込む肌触りのいい布。

遠くの方で太鼓?を叩くような音が聞こえる


すると突然辺りが明るくなった。

どうやら布で目隠しをされていたみたいだ

目の前には鏡。そこには可愛い女性が写っている


「ちょっと待て、俺の目線おかしくない?」


ちょうど胸の辺りから見てるような


「というか僕の姿、えっまさか」


なんと右のおっぱいになっていた


「えっと、何か強い衝撃をうけて…ダメだ思い出せない? 僕は死んだのか?」


そう僕は【転生したら右乳だった】のだ


突然左乳が話しかける


「あのさ、あんたもっと頑張ってくれない?あんたがサイズ小さいせいでブラのサイズも小さくんるじゃない!きついのよ私」


右乳は不満げに僕に言う。

昔何かの本で見たが心臓が近い分左の乳の方がデカくなるそうだ


「いやだって、左乳の方がデカいの普通だし」


僕は答えた。既に右乳である事は受け入れていた。


「そんなのあなたの努力次第、もっとしっかり発育しなさい!」


そういうと左乳は上を向いてツンとした理想的な形だ。

俺も負けじとツンとした


突然右乳の僕は鷲掴みされ激しく揺さぶられた


「なんだ?なんだ?やめろ、おいやめろって!」


一向に収まらない


「だからやめろーーーーー」


飛び起きて目を覚ました


「よかった。うなされてたから心配しました…」


目の前にはエマがいた。

どうやらうなされていたから心配して揺すっていたそうだ


(なんて夢だ…やっぱり昨日のおっぱいの…)


「すいませんでした流様。私、その、突然で」


エマが申し訳なさそうにしている


「あっ、いや、こちらこそ申し訳ない。気にしないでね。僕が悪いし」


「あと、魔王様からの言伝です。13時より会議だとの事です」


「分かった」


寝ぼけていた頭が徐々に覚醒する。エマの服装が変わっている事に気づく


「えっ、その服、メイド服?どうしたのそれ?」


エマは恥ずかしそうにモジモジしている


「魔王様が、この服を着ておけば流様がお喜びになるとおっしゃられて」


「…魔王」


グッジョブ!! 心の中で魔王を称賛した


「あの。似合いますか…」


「めちゃくちゃ可愛いよ!すごく似合う!元気になったよ!」


エマは嬉しそうに笑った


「良かった」


笑った顔も可愛い


「さて、じゃあ支度するか…」


「あっ、お食事お持ちしますね!お待ちください」


エマは僕の食事を用意する為に部屋を一度出た。

僕はエマが戻る前に身支度を整え食事を待った。


――コンコン


扉を叩く音がする


「流様。お食事をお持ちしました」


食事を持ったエマが部屋に戻ってきた


「ありがとう!ここに置いて」


テーブルに置くとエマは横に立って控えた


「エマも一緒に食べれば?」


「私は、食事を必要としないんです。人間の生気を吸うんです」


「あっそうだったね。そしたら僕人間だから吸うかい?」


何気なく聞いた


「えっよろしいのですか?」


「うん、いいよ。あとその言葉遣いやめて。普通に接してよ」


エマは少し考えて、コクリと頷く


「はい、流様」


「ところでどうやって吸うの?」


「【エナジードレイン】という固有能力があるので…」


「なるほど!じゃあ先にどうぞ」


エマは僕の背中に手の平を当てた


【エナジードレイン】


身体の中から何かが抜けていく


エマの体が光り輝く


「ごちそうさまでした♪」


かなりの疲労感。例えるなら、フルマラソンを走ったそんな気分だ


「流様の生気美味しいです!」


エマは嬉しそうに僕に伝えてくれた。エマの肌は艶やかになっている


「それは何より。とりあえず僕もご飯食べちゃうね」


疲労感と空腹感に堪え切れず僕は食事を貪った


【エナジードレイン】の恐ろしさを身をもって知った


食事も終り配膳をエマが下げる


「じゃあ、会議に行ってくる」


「いってらっしゃい」


エマに見送られて幹部会へと向かった


会議室に着くと6名の師団長が席に座っていた


空席に僕も腰かける


「昨日はゆっくり休めたか?」


ガル―フェンが話しかけてきた


「いやー色々あってさ」


話をぼやかす


「そうか、まぁまた何かあったら俺様を頼れよ」


「ありがとガル―」


会議室の扉が開き魔王が入って来た


幹部一同静まり、魔王の着座をまつ


「同氏よ良く集まってくれた。礼を言う。話は聞いているかと思うが、勇者流が我ら同胞を人間の手より救い出してくれた。そして、人間は我らが同胞を捕らえ奴隷にしている事が発覚した。これは見過ごすことは出来ぬ。詳細は勇者より聞こうと思う。説明を頼む」


魔王はそういうと席に座り話に耳を傾けた


「あの、僕は偶然魔族の村を発見して、見に行ったら襲われてて…」


これまでの経緯を話した。

王国上層部の話、シャルルという人間の話、騎士を倒した話。

30分以上掛ったが皆静かに話を聞いた


「…という事で経緯は以上です」


話が終わり席について、フゥと一呼吸入れた


「勇者よ、改めて礼を言う。ありがとう。 そして、一個初耳だが、お前、騎士を倒したのか!?」


「うん?あぁ、確か剣鬼クラウドって奴だけど」


幹部達がざわつく


「静まれ」


魔王の一言で静寂が戻る


「剣鬼クラウドと言えばかなりの使い手だ。これは、すごい事だぞ」


「まぁ確かに強かったけど、ガル―の方が強かった気がする」


「そうか、だがこれでクフマーリア領に穴が開いたな」


「貴様は騎士共について何か知っているか?」


「いや、何も。兵士よりカッコいい鎧だなくらい」


「ならば説明しておこう」


魔王は会議室のテーブル中央に立体映像を展開させた


  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る