第19話 体験は最大の学び

ーー魔王城宝物庫ーー


本で見たようなアイテムや呪われた系のアイテムまで相当量が収納されていた


「流石にすごいなぁ。この中から選ぶのも骨が折れる」


「クックック。そうでしょうそうでしょう。魔王軍の力の象徴たる宝物庫ですから」


嬉しそうに語るのは宝物庫の番人であるミミックロードだった。


宝箱からはえる手足


その手には鋭い牙風の爪


体の至るところに煌びやかな装飾


宝物庫の番人たる風格があった


「悪いけどいくつかもらって行くね」


「えぇもちろんですとも。魔王様から仰せつかっております。この中にある全てのアイテムは私の頭に情報が入ってますので、なんでも聞いてくださいませ」


僕は先程本で見た3つのアイテム


『導きの光』『インビジブルスペース』『アクエリアスの恵』


このアイテムが無いかを聞いてみた


「クックック、少々お待ちを」


目を閉じて何かを考えている


どうやら記憶のデータにアイテムが無いかリサーチかけているようだ


「クックック、残念ですが『インビジブルスペース』はございません。ですが『導きの光』と『アクエリアスの恵』の2点はありますので取ってきます」


『インビジブルスペース』が無いのは少し残念だったが旅の途中で手に入れれば良いと思い、2つも希望のアイテムがあったことに感謝した


「クックックお待たせいたしました。こちらが『導きの光』と『アクエリアスの恵』です」


「これってレア度どのくらい?」


「クックック。貴重な物ではありますが、比較的出回っているのが『導きの光』です。『アクエリアスの恵』はそうそう出回ることはないお宝です『インビジブルスペース』は人族の国で購入できますがお値段はかなり高額です」


「なるほど。ありがとう。ちなみにこれから冒険に出る僕に良さげなアイテムって何かある?」


「クックック。それでしたら、『漆黒の翼』と『透明化の指輪』、『身代わりの石』の3点がよろしいのでは?」


宝物庫の番人が説明すると能力はこうだ


ーー漆黒の翼

効果:出し入れ自由な悪魔の羽。 自由に空を飛ぶことができ、高速移動も可能。

但し、太陽の光が出ている日中は使用不可


ーー透明化の指輪

効果: 使用すると1日に60分だけ透明化する。透明化の発動と解除は自由

但し、1日60分使用すると魔石が光を失い使用不可になる。翌日には輝きを取り戻す


ーー身代わりの石

効果:いかなる死であろうと1度だけ身代わりになる

但し、復活場所は同じ場所の為、復活後に再度死ぬダメージを受ける場合もある


「クックック。いかがでしょう!?」


「流石に魔王軍のアイテムだけあって凄いのが多いね。それも貰っていいかな?」


「かしこまりました。『漆黒の翼』ですが日が昇った瞬間に消えます。どのアイテムも使用条件だけお忘れなきよう…」


そういうとアイテムを僕に渡してくれた


「クックック。それでは御武運を」


「それじゃあ行ってくる」


りゅうは意気揚々と城を後にした


外に出ると丁度夕刻だったので早速『漆黒の翼』を試してみることにした



「顕現せよ我が『漆黒の翼』。空を駆ける力を僕に与えよ」


本当は詠唱など必要なく、頭の中でイメージするだけで翼は出し入れ可能だが…折角なので格好良く詠唱してみた。


背中に悪魔の翼が現れる


「この姿、完全に僕魔物だな…」


翼は今まで自分に生えていたかのように自由に動かせる


手足を自由に無意識で動かせるように


翼が羽ばたきりゅうの足が地面から離れる


「うっ、浮いた!!!」


慣らし運転も兼ねて自由に飛び回る


「す、、、すごーーーい!僕空を飛んでるよ!」


雲を突き抜ける程上昇する


夕陽が落ちて行くのが見えた


「うわぁぁ、すごい綺麗だ…地上からは見えなかったのに空からだとこんな風に世界は見える。。。!?」


次の瞬間背中から翼は消えてりゅうは地上めがけて急降下した


「い、いぎゃぁぁぁぁぁぁしぶぅぅぅぅぅう」


太陽に当たると翼が消える事を身を持って体感した


雲を抜けて地上が見えてくると、太陽が姿を消した


その瞬間翼を出すことができて一命を取り留めた


「はぁはぁはぁ。しっ死ぬとこだった。。。こんな感じになるのか…日の出なら死ぬ…」


便利なアイテムには棘がある


りゅうは身を持って学んだ


「あっ、せっかくだし旅に出る前にこのままテラスに寄っていこう」


テラスに飾られている元仲間達の下まで飛んで行った


「今晩は御三方。僕はこれから世界の見聞を広めるために旅に出ます。どのくらいかはわからないけど、そこで僕の旅の無事を祈っててください。なんて祈ってくれるわけないか。あっ僕が死んだらその魔法一生解けないのでよろしく。じゃあ行ってきますね」


挨拶を済ませまずは人の住む地域まで飛ぶことにした


「魔王もまだまだこの魔物の国に来ていない魔物もいるって言ってたしゆっくり飛びながら行ってみよう」


荒れた土地が地平線の向こうまで続く


歩いてきた時はかなりの時間を要したが、この『漆黒の翼』のおかげで早い


あっという間に木々生い茂る人が住む大陸まで辿り着くことができた。


「よし、今日はあそこらへんで野宿しよ」


ゆっくりと降りて行き翼をしまった


『アクエリアスの恵』を『魔法のバック』から取り出すとごくごくと飲んだ


「はぁ〜いきかえるぅー」


近くに落ちている木々を集めて火を起こす


飛んできたとはいえ魔力を消費した体はすぐに眠りに落ちた...

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