第15話 叶わぬ欲望の価値

「オカエリ ダンジョンドウダッタ?」


「おかげ様で目的の品を手に入れたよ!」


僕は自慢げに”呪われた隷属の首輪”をバルサンに見せつけた


「ソレハナンダ?」


バルサンは知らないようだ


「これは人類を滅ぼす為に使えないか試したくてね」


僕は盛大に嘘をついた。


(言えないよ。これで人間の女の子に命令聞かせてムフフな事しようと考えてるなんて…)


「ナントスバラシイ。ユウシャハニンゲンダガワレラノナカマダ」


「うん!絶対人類滅ぼそうね」


その後ダンジョンでの出来事を軽く話、僕はバルサンと別れた


部屋には戻らずそのまま魔王の自室へ向かう


「おーい魔王、戻ったよ~」


興奮状態の流は魔王から返事も待たず部屋の中に入っていった


「おい勇者よ。せめてノックくらいは…」


「いや、そんな事よりこれ見てくれ」


僕は大量の魔石を魔王に見せた


「こ、これは魔石か!? こんなに大量にどうした?」


ダンジョンでの出来事を魔王に話して伝えた


魔王は如何に魔石が貴重か話してくれた


「全ての魔物がドロップなどとは俄かには信じ難いが貴様が嘘を言う理由もない…  しかし、今までそんな話は聞いたことない。魔石はたまにダンジョンの魔物がドロップするか、鉱山による採掘でしか手に入らない貴重品だ」


「そうなのか? 魔石は本当に全ての魔物がドロップしたぞ。あっあとこの剣も」


一本ドロップした剣を魔王に見せた


「なんと、剣までドロップしたのか? 勇者よこれは素晴らしい事だぞ」


「そうなのか。まぁいいや、あとこのバックもだよ」


「なるほど。見た事無い品だな。すまないが我は”鑑定”をすることは出来ぬ。魔王城にも鑑定が出来る物は少ない。第九師団長の薬死王 ドラグマランティーノなら可能だ」


「本でコツコツ調べてみようかと思ったが」


「魔具の種類は膨大だ。特定する前に寿命を迎えるぞ」


魔王は冗談で言っているのか本気なのか分からないが大きな声で笑っている


「分かった、そしたら師団長のところに行ってくる。だがその前にやらなきゃいけない事がある」


魔王に”呪われた隷属の首輪”を見せつけた


「おぉそれはまさしく呪いのアイテムだな」


「じゃあ魔王、また来る」


僕はテラスに向かおうと思い魔王に別れを告げた


「それを使うのか勇者よ」


「あぁ。これは俺の使命だから」


流はカッコつけながら魔王に言うと急いで部屋を飛び出した


「いや、その首輪誰も使えないぞ…」


魔王が説明しようとしたが、すでに流はその場から消えていた


「なぜあやつは話を最後まで聞かないのだ…まぁ良い。体験すれば分かるだろう」


魔王はアイテムより気になることがあった


「勇者の魔力が急増していたな。かなり強くなったとみえる…」




ーーー 場面は魔王の自室からテラスへと移る


テラスに着いた僕はエリ-シャの前に立っていた


「エリーシャさん、ついにこの時が来たよ。不細工だ気持ち悪いだ汚いだと散々罵った相手に隷属し抱かれる日がね」


クックックと不敵な笑みが溢れる脳内は妄想ワールドで満ちていた


「まずはエリーシャさんの石化を解いてこの”呪われた隷属の首輪を…」


だがしかし、解除した瞬間魔法で攻撃してくる可能性は否めない。


だから一部解除できないか試みることにした


ダンジョンで鍛えられた今なら魔法の細かい操作もいけるのでは?と考えていた


エリーシャに両手を向けて呪文を唱える


「【エンドアースデス】の頭部のみ解除」


宣言するとエリーシャの顔にヒビが入り、顔のが剥がれ落ちた。


無事成功した


「やぁエリーシャさん。こうやって会話するのは久ぶりだね」


「おい!このクソ豚野郎!! 魔法を解除しなさい!! 」


「エリーシャさん。ずいぶん口が悪くなってない?そっちが本性なのかな?」


「ふざけんな、人間の癖に魔王に寝返って! 卑怯者!裏切者!」


罵詈雑言をエリーシャは浴びせてくる


「何とでも言ってくれていいよ。それよりこれをエリーシャさんの為に持ってきたんだ」


そういうと”呪われた隷属の首輪をエリーシャの首に付ける


「ちょっと!何つけてるの!外しなさい!!!絶対ぶっ殺してやる!」


「それは隷属の首輪だよ。着けられた者は僕に絶対服従させるアイテムだよ」


エリーシャの罵声が止まり顔が引きつっている


「こんなのつけて何をする気なの!!」


「散々汚物呼ばわりした男の子供でも生んでもらおうかと思ってね」


エリーシャは顔が見る見るうちに青ざめていく


「いやーそれだけはやめて!!そんな事されるくらいならいっそ殺しなさい」


「ダメだよ。せっかく苦労して取ってきた物だからね。じゃあ早速命令するよ」


「いやーーーーーーやめて!絶対いや!!お願い謝るから。お願いします、お願いします」


「もう遅いよ」


僕はエリーシャに対して命令を始めた


「エリーシャよ僕………うっ…うぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」


僕は意識を失った


エリーシャは目の前で起きた事が飲み込めていないようで唖然としていた


五分後、流は意識を取り戻した


「ちょっと待って…激痛って激痛すぎでしょ…とりあえずもう一度」


「エリーシャよ僕………いっ…いぃぃぃぃぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」


また流は気を失った


「なに…一体何を見せられてるのよ私は」


エリーシャは気が動転している


また数分後目を覚ますとゆっくり立ち上がりエリーシャから首輪を外した


「くそがぁぁぁ!! 使えねーよこんなの!! 」


呪われた隷属の首輪を地面に叩きつける


「エリーシャさん、申し訳ないけどまた石像になっててね」


「いやぁぁぁ、もう解除してよ! 絶対この事は言わないし、謝るから」


エリーシャは泣きながら僕に懇願していたが、計画が失敗したショックで何も聞こえなかった。


落胆しながら【エンドアースデス】を唱え再びエリーシャを石化させた


後日談ではあるがエリーシャの石像の表情が以前と変わったとかポージングが変わっただとかで噂になっていた


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