第14話 目に見える結果
「クソ!!!」
下の階に降りてすぐに襲われた
しかもこのフロアの敵は武器を持っている人型の魔物だ。目は四つあり鼻は無く、口は縦に割れている。しかも顔のパーツが若干斜めだ
「めちゃ気持ち悪い顔ぉぉ! それに今まで武器なんて持って無かったのに!! しかも数多いから!」
走りながら愚痴を叫ぶ
流は突如振り返り今度は魔物の方へ駆け出した。そして魔物の間を縫うような無駄のない動きで全ての敵を切り裂き倒した。
「あれ?なんだ今の動きは?? まさかゴーレムの試練で精神力的な何かが鍛えられて強くなったのか?」
自分の動きに驚く
召喚勇者の流は確かにステータスは高い。
しかし戦いとは無縁の生活だったので技術は無かった
力で押し切る
そんな戦い方だったが、召喚され、戦いに明け暮れる日々を送るなかで技術面も向上していたのだ。そして精神世界で”生きたい”という自分の気持ちに気づく事で、動きに無駄が減ったのだ。 生きるために戦うこの世界では”生きたい”という欲求は欠かせないものだ
どこか自暴自棄になっていた流では使いこなせなかった自分の力も、ようやくその力の一端を使いこなせるようになったのだ
倒した魔物が地中に溶け込むように消えていく。
ドロップした魔石も少し大きくなった気がする。
だが今までと違う点があった。
その場に剣が落ちていたのだ
「うわぁ! 初めてアイテムがドロップしたよ!」
明らかに流が召喚された際に授与された剣よりも切れ味が良さそうだった
「どうしよう荷物が多くなってきた。とりあえず背中に担ぐか」
今までの階層とは大きさも変わっていた
迷路のようなフロアをくまなく探してようやく下りの階段を見つけた
「このフロアで倒した魔物は最初の一回だけしかアイテムドロップしなかったな」
なにか条件があるのか、それとも確率なのか流の持つ知識では判断できなかった
「魔王城に戻ったらもっと知識をつけよう…」
生きる為には知識が欠かせない事を学んだ
身体の疲れもピークを迎えた。精神的にゴーレムのフロアでダメージを追ったこともそうだが、ダンジョンに潜って5日くらい経っている。仮眠は都度取っていたがもう限界だ。
「階段も見つけたしここで休もう。足が棒だよ…腹も減ったし」
持ってきたパンを一切れ取りだし、空腹を満たした
「これっぽっちじゃ満たされないよ… もっと準備してくればよかった」
瞼がだんだん重くなる。
【ドーム】
魔法を唱え自分の周りを土で覆った。
一か所に拳大の穴をあけ空気穴も作った
「これでよし! あ~あ。眠い。寝よ」
流は深い眠りについた。
どの位寝たのか分からないが周りがうるさくて目を覚ました
「んっ…なんだよぉ。うるさいな…」
空気穴から周りを確認すると【ドーム】の周りに数えきれない魔物が集まり、【ドーム】を破壊しようと攻撃を加えていた
「【ドーム】発動してなかったらやばかったな」
階段もドームの中にあるので問題無いがいつ壊れるかも分からないので、急いで支度を整えるとその場を後にした
下の階に着くと言葉を失った
「えっ、空がある!? なんで?? ここ洞窟だよね?」
夜空と満点の星が天井を埋め尽くしている
「しかも、ここは、墓場か」
気持ち悪い場所だが、洞窟に空がある事の驚きと合わさり不思議と嫌な気持ちにはならなかった
墓の間を歩いているとモコモコと地面が動く。
数百はあろう墓すべての地面からゾンビのような魔物が這い出てきた
「うわっ、きもちわるっ」
近くにいた魔物が嚙みつこうとしてきたので首を切断した
しかし落ちた頭を拾いあげると自分の胴体にくっつけた
「切断はダメか。潰せばいいのかな?」
【ストーンバレット】
地面に拳大の石がいくつも現れると魔物の頭めがけて飛んでいった
グチャという不快音と共に魔物は倒れた
「ビンゴっぽいな。そうと決まれば…」
【ストーンバレット】【ストーンバレット】【ストーンバレット】………
ひたすら魔法を打ち続けた
五分ほど経つと辺りに魔物はいなくなった
「しかし、【ストーンバレット】って昔は小石程度だったのに…やっぱり今回の冒険で僕強くなったな」
目に見て分かる成果に初めて成長を受け入れる事が出来た
今まで何か努力して結果を出した事が無い男にとっては初めての”成長”
一人で成長を感じていると魔物が消えた後にアイテムドロップを見つけた
努力したご褒美なのかは分からないが、ついに”呪われた隷属の首輪”を手に入れる事が出来た
「うぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!」
図鑑で見たそのままの形に思わず叫んでしまった
「こっこれが… これで… ついに うぅ、、、」
”呪われた隷属の首輪”を胸に抱きしめ泣いた
ゴゴゴゴと何かが動く音が聞こえる
そちらを向くと下に降りる階段が現れた
「もうダンジョンに用は無い! 帰る!!」
そういうと階段を上り始めた
来た道を戻り続ける
しかし、行きとは違い魔力を温存する必要はない
ひたすら魔法を連射して走り続けた
降りるときは何日もかかったダンジョンが外に出る時は五時間程で脱出する事が出来た
青く広がる空。 大地を暖かくテラス太陽(この世界での呼び名は知らないけど)
久しぶりの外に大きく息を吸い手を空高く掲げ背中を軽く反った
「あぁ~外って素晴らしい」
僕は魔王軍の拠点を目指すことにした
魔王軍第五師団長のバルサンに【ゲート】を作ってもらう事でここまで来たのだ
だが帰りはいない。しかし拠点に行けばバルサンがいなくても連絡取れる奴くらいいるだろうと考えていた
僕は拾った魔石の半分程をバルサンに渡そうと思っていた
魔王軍の拠点に着くと門番が経っていた。
カマキリの様な姿の魔族だ
声を掛けてみた
「魔王軍幹部の元勇者だけど、バルサンいる?」
門番は念話で連絡を取ると言ってくれた
暫くその場で待っていると目の前にゲートが現れた
門をくぐると目の前にバルサンがいた
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