第8話 魔王軍と人類 その歴史は……

自分を馬鹿にしてきた人間を絶滅させる為には、魔王軍の力は必須


自分が召喚勇者としてステータスの底上げを受けているとはいえ、軍を一人で相手に出来る程チートっぷりではない


「復讐を行うには先ず魔王軍の力の把握、人間界の情報、これは欠かせない」


魔王のところに僕は向かった


「魔王、勇者だ。話がある」


魔王の自室前の扉から声をかけた


「……」


扉が開いて中から骨子さんが現れた


「勇者様お久しぶりです」


「あ、お久しぶりです。えーっとスケルトンの、、、」


「そういえばまだ自己紹介してなかったですね。【オリビア】です」


「オリビアさんよろしくね。僕は流です」


「流様というお名前なのですね。改めてよろしくお願いいたしますね」


「えーっと、魔王は?」


「あ、そうそう。魔王様は今外出されております。1時間もすればお戻りになられると思いますよ」


運悪く魔王はいなかった


僕は出直すことにして、魔王が戻ったら僕が来たことを伝えて欲しいとオリビアに頼んだ


「流様。また今度お話しましょうね」


「あ、うん。もちろんよろしくお願いいたします」


女の子からのお誘いに少し戸惑ったが、心がほわほわした。


この気持ちは何というのか童貞の僕には分からなかった


魔王を待つ間、一つ疑問が浮かんだ


「そういえば、魔王軍と人間てなんで争ってるんだろう?」


召喚されてそのまま討伐に出たが、”なぜ”争っているのか理由を聞いていない

人間の王は(なまえなんだったっけ?)魔王が侵攻してきてるとしか言って無いもんな。


「後で魔王にその辺の背景も聞いてみるか」


魔王軍と呼んでいるがそもそも保有する土地の広さも分かってない


ここまで旅してきた時は魔獣は野良猫みたいな感じで街の外にいた


しかし、会話は通じない


魔王軍の魔人と魔獣の関係性も分からない


魔王軍の魔人は異形であっても言葉を話せ知性も持っている


人間だって同じだ。


「僕は何も分からないまま、促されるがままに戦っていて何一つ自分で考えてはいなかった」


考察を続ける中で一匹の蝙蝠の翼を持った大きな目玉がこちらに向かってきた


「キキッ!勇者様 魔王様が自室でお待ちです。キキッ」


「あ、ありがとう」


それだけを魚籠に伝えると、飛び去って行った


「あれって、どこから声出てたんだ!?」


口のような部分が見当たらなかったのでどこから声が出てたのか気になって仕方なかった。

モヤモヤする気持ちを整理つけながら魔王の自室に向かった


「魔王。勇者だ」


「よく来た。入れ」


魔王の自室が開く


オリビアが中で一礼するが話しかけてはこなかった。


(魔王の前だからかな?)


少し寂しかったが仕事だと理解して魔王に視線を向けた


「して、我に何か用か?」


「あぁ、僕は過去と向き合って決意を固めたから」


「むっ?何を言っている??」


会話の脈略が無い。それじゃ魔王も理解するわけない。コミュ障も徐々には治ってると思うが会話能力はまだまだ課題がいっぱいだ


「あ…いや、何でもない。それより、あの、、、ほら、人類を滅ぼすんだよね?」


「あぁ、それは我らの悲願でもあるからな」


「今更だけど、魔王軍と人類はなぜ争ってるの?」


「何!? 本気で言ってるのか!!」


「……うん。ごめん。何も聞かされず『魔族は敵』って言われただけで」


「…いや声を荒げてすまない。陳謝する。そうか、知らないのか。分かった。それでは歴史の勉強といこうか」


何か、空気感が変わった。その雰囲気に僕は緊張した


「まず、魔王軍と人類はなぜ争っているのか。それは遡る事500年前」


魔王は話を始めた


「魔王!!」


僕は大声を出して魔王の会話を遮った


「なっなんだ急に大声出して」


「ごめん……トイレ……」


緊張から腹痛が始まった


「あ……そこの先にありますよ」


魔王は呆れて敬語になっていた。


僕はトイレに駆け込んで事なきを得た

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