第5話 一人より二人。友って素晴らしい!

目が覚めると知らない天井がそこにはあった


「いてっ……」


「まだ動いちゃだめよぉん」


ズルズルと何か引きずる音が聞こえた。音のする方に首を向ける。


ナメクジの様な体にデカい唇。何か昔ゲームで見たことある様な魔物がいた。


「えっ。リップ……」


「な~に?私の唇が気になるの?もぉ~ お・ま・せ・さん♡」


思わず魔法を放ちそうになったがグッと堪えた。


「貴方とガル―フェン様が運ばれてきた時は大変だったのよん。ガル―フェン様の方が重傷だったけど先程目が覚められて自室にお帰りになったわ。」


「あ…よかった生きてたか」


僕はガルーフェンの安否を確認出来て胸を撫でおろした。


「それとぉ~目が覚めたらガルフェン様のお部屋に来るように言伝を預かったわぁ~」


「あ…ありがとう」


僕はゆっくり体を起こすとベットから降りて自分の体を確認した。


「傷が無い」


「ワタシの回復魔法でばっちり治しちゃったわぁ~」


「君が?そうだったのか…ありがとう。退治しようとしてごめん」


「え?退治?なんのこと?」


「あ、いやごめん。まだろれつが回らなくて」


思わず心の声が出てしまった。命の恩人に対して敬意を払わなくては


「あら♡ いいのよぉん~ 男の子はやんちゃな方がす・て・き」


僕は礼を言い、早々に部屋を出た。後数分もいたら命の恩人を……


ガル―フェンの言伝に従い、彼の部屋を目指した


魔王城は広い。ガル―フェンの部屋までは歩いて五分以上かかる。

先程の戦いを思い出しながらゆっくり歩を進めた


部屋に着くとまた大きな扉が顔を出した


(魔王軍て部屋の扉デカいよなぁ。大型の魔物もいるからかな?)


そんな推測をしつつ扉を叩いた


「あの、流(りゅう)、いや、勇者です、だ!」


「開いてるぞ。入ってくれ」


扉を開け中に入るとガルーフェンは机に向かって何か書類の確認をしていた

隣には侍女が二名。メイド服を着ていた。しかし顔は狼。だがガルーフェンと異なり何か女らしさとというか、メスらしい毛並みをしていた


「まずはお互いの無事を喜ぼう」


お前が仕掛けてきたんだろボケ! と心で叫んだ


「うん……そうだね」


「それでどうだ? 俺と鹿王どっちが強かった」


「正直、鹿王と戦った時には仲間も三人いたし、明確に答えることは出来ないけど…」


その仲間達は今石像にされてテラスのオブジェになってる。まぁ僕が石像にしたのだが


「でも、ガールフェンと戦った時の方が、なんていうんだろう…楽し…かったかな」


僕は精一杯の感想を伝えた


「そうかそうか! 楽しかったか!よしよし!それは俺も同じ意見だ友よ!」


ガル―フェンの言葉に自分の耳を疑った?


「え? と、、、も、、、?」


「当たり前だ、こうやって拳を交えお互いの事を知った。我らは友だろう?違うのか?」


ガル―フェンの言葉に一筋の涙が流れた。嬉しくて流れる涙。都市伝説だとばかり思っていた


「あっあの!! あ…ありがとう!!」


「何を泣いている? 傷が痛むのか?」


「違うよ…友達なんて…その…初めて言われたから…嬉しくて」


「はっはっは! そうかそうか!これから我らは友だ。遠慮なく頼るがよい」


「ありがとうガル―フェン」


「ガルと呼べ勇者よ」


「ガル…うん。分かった。ガル、僕は流と呼んで」


「わかった|流よ!これからもよろしくな!また戦おう!」


「それだけは断る!!!」


部屋の中は二人の笑い声で満たされていた


その後他愛もない話を交わし、僕は部屋を後にして自室に戻った


「ともだち!」


僕はその響きを何度も心の中で反芻した。浮かれ気分で足取りも軽い。思わずスキップしてしまった


たまたま角を曲がってきた魔族に見られ赤面した


「魔王軍に入って、、、よかった、、、気がする」


僕は無性に走りたくなり長く続く廊下を駆け抜けた

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