第40話 答え
背後から聞こえてきた僕の名前を呼ぶ声に振り返ってしまいそうになる。だけどそこを、何とか我慢してそのまま、ホームに足を進めた。
『ありがとう!』
背後から大きく聞こえてきた、彼女の精いっぱいの言葉に胸がキュゥっと締め付けられた。
「僕、やっぱり……」
もう、答えは出ていた。
それでも、結局なにも出来ないまま、十二月を迎えていた。
「日向君。クリスマス、どうする?」
休日に二人で会っているとき、明里が聞いてきた。
「クリスマスか……。駅前のイルミネーションとかどうかな? 結構きれいだよ?」
僕は去年、飛鳥と二人で見た鮮やかなイルミネーションを思い出して提案した。
「イルミネーションかぁ……。そういえば、これまで見たことなかったかも……」
「じゃあ、決まりで」
「うん。楽しみにしてる」
「僕も」
形だけの返事を返して、僕は明里の小さな手を優しく、柔らかく包み込んだ。
「お腹空いたね。何か食べない?」
「う~ん、じゃあ。こないだこの辺りにいい感じのカフェ見つけたんだけど、そこは?」
「行ってみたい!」
明里の無邪気な笑顔に胸が苦しくなる。
「じゃあ、行こうか」
「うん!」
僕たちは目的地に向かって、ゆっくりと歩き始めた。
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