新しいカタチ…。

『は…?ハワイ?』

ゆかりは確かに……

鈴木とタワーホテルに泊まった時に……

ちらっとそんな話題が出たような?


鈴木の子を妊娠したから……。


鈴木は帰り道、ベンツを走らせながら……

ゆかりに話していた。


『アイツが、いつか刑務所から出てくるだろ?……』


『!………あ!…』

だから…今のうちに、お前をかくまうんだよな?……


ゆかりは確かに……と同感だった。

思い返すと……今でも恐怖感が、度々襲う。


『それに……海外にも支社があるんだ。実はさ……本社は日本だけどな?……』


『着いてくるか?』

少し不安を抱えたゆかりは、少し考えていた。

鈴木は会話を続ける。

『って言うか、着いてきて欲しいんだ。』


『その……言葉って、クスッ…プロポーズ?……』

『まぁ、あっちで挙式挙げて……指輪も買い直したいしな……』


ゆかりは、まさか自分がハワイで出産するのかしら……?

向こうで子育てか…。


と色々と考えていた。


鈴木は、ゆかりに

『今日は……疲れただろ?夕飯どうする?』


『え…?食材買ってあるよ?…もぅ……。社長?お金は大事に使おうよ…?』

『今日はラザニアだよ…?私の得意料理なんだよ…?』


『いや、お金うんぬん、じゃなくて……ベビーの為に…お祝いするべきだろ?……ハハッ!ゆかりは良いカミさんに成るな?』


そのうち尻に敷かれたりして……(苦笑)クスッ!


帰り道は、楽しい会話が続いた。

ゆかりが珍しく…

鈴木におねだりをした。

ゆかりはネックレスが欲しい…。と鈴木に話す…。鈴木からしたら疑問が残った。


『?……何で?…』

と聞くと…指輪を外され、捨てられる事の無いように、

ネックレスがいい…。との事だった。


鈴木は提案をさらにした。ネックレスに

一緒にぶら下げられる指輪を一緒に買うってのはどう……?


ベビーが大きくなればベビーリングも…ゆかりが一緒に

ぶら下げておけば?……どう……?


ゆかりは喜んだ。


『わぁ!今日の夕食……張り切って作っちゃお!ふふっ』


鈴木は、指輪とネックレスは日本で買うか?海外で買おうか?


しばし考えを巡らせる…。


ゆかりをマンションまで送ると……ちょっと会社に用事があるんだ。実はさ……


取引先との最終打ち合わせが残ってんだ。


ゆかりは、

ラザニア食べれる時間は……?と聞くと…


『今日は…早いから…。待っててくれな?……』


ゆかりが部屋に着くのを見届けると……


鈴木はベンツを方向を変えて…

指輪とネックレスを買いに出掛けた。


ゆかりを驚かそうと…鈴木は、会社に戻り

受話器を取る……電話の相手は…別居中の

鈴木の妻だった。


鈴木は単刀直入に話をしだした。

すると…妻がさえぎる様に話をしだした。


『私……何処か間違っていたのかしら?あなたみたいに素敵な出逢いを……求めていたわ……でも……』


鈴木は返答に困っていたが……妻は電話口で泣いていた。


『悪いけど、もう……俺達は無理なんだ。慰謝料はきちんと支払うから……俺が悪かったんだ…すまない。』


『うぅ……私も…っぐすっ…悪かったわ……ずずっ…。ぐすっ…』


どちらとも無く……

『さよなら。』

の言葉が重なった。


鈴木が、

『お前……大丈夫か…?…』

と聞くと…あなた以上を見付けようとしたけど、無理だったわ……


娘も巣だったし、

慰謝料をくれるなら、それで…新しい生活を始めるから…。


『離婚届け……出しておきます。ぐすっ……フフッ…。ありがとう。』


妻と電話を切ると…。鈴木は慰謝料を振り込みに出掛けた。


『五千万円……入れておけば…やってけるな…。俺…何やってんだろな…。』


慰謝料の振り込みは、多額な為に……銀行の窓口だった。

1週間ほど時間を要する……と窓口担当は、淡々と話していた。


鈴木は、銀行から出ると……前を向いて

ベンツの方へと歩いていった。



『さて、と……ネックレスと指輪を買いに行くか?…』


P(パーキング)から…D(ドライブ)にチェンジすると……


鈴木は、銀座へと、

ベンツを走らせた。


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