どっちの子…?

ラブは、鈴木社長を

見送ると……部屋中の掃除を始めた。


『そういえば……いつまでも…ラブ呼ばわりだと…可笑しいかな?クスクスっ…』


ラブもとい……ゆかりは、いつにも増して…その美貌に光を放っていた。

夕食の買い物に、外に出る時も……

その、ゆかりのモデル並の容姿に……

度々…声を掛けられた。その度に……


『あ……!いいです。ごめんなさい!』と…声を掛けてくる異性を丁寧に断っていた。

本当にモデル事務所に声を掛けられた事も、あったのだが……


『彼に聞いてからにするわ………!』

何もかも、新鮮で…

鈴木との新しい生活が、始まる…。

そんな中……ゆかりは突然、目眩がした。


帰り道だったので…

慌てて鍵を出し…キッチンへと向かうと……


『!………うっ…!』と込み上げる吐き気と共に、ある事を疑った。


『に……妊娠…?』

(社長か…?和希か?どっちなの……?)


念のために検査薬をしようか?社長に話して産婦人科に行こうか?


ゆかりは後者を選んだ。

【一人で抱え込まず、何でも話そ……】

鈴木が、11時を過ぎた頃に戻ってきた。


ゆかりがネグリジェ姿を見せながら……

鈴木に甘えてきた。


鈴木はゆかりを抱き寄せて……よしよし…

どうかしたか?と優しい口調で…

聞いてきた。


『妊娠したかも?』

『ん!…?』

『え…?…マジか!』


鈴木は、大きく手を広げて…ゆかりを抱きしめた。

『あの、でも……』

鈴木は機転をきかせ、ゆかりが一番心配している事を……


『あの事なら、気にするな……?な!』

と鈴木は、またゆかりのほっぺたをつねっておどけていた。


『俺もお前も……充分苦しんだ。そうだろ?大丈夫だ。きっと大丈夫……。何てったって、俺だからな?(笑)』


『何それ。ふふっ✨』

2人は強く重なる様に抱き合った。鈴木の、体温と心臓の鼓動が

ゆかりに伝わってくる……


『あったかい……』


明日、土曜日だから…産婦人科行こうか? と鈴木から提案してきた。

ゆかりは、うん。と首を縦にふった。


『お風呂…!入ろ?』

2人でお風呂に入るのは…… 初めてかも…?

ちょっと恥ずかしい…とゆかりは言って

バスルームの明かりを消したのだった…。


鈴木はゆかりに身体を求める事もせず……

ただ、お腹に手を当てては…喜んでいた。


『妊娠、か……。』


小川が驚いていた。

『マジか?はぇ~な……お前…。アイツの子供だったら、どうすんだ!?』


『大丈夫だ!……俺は信じてるから……』





次の日……産婦人科で…100%鈴木の子

だと言う事を知った…ゆかりは、


安心して…鈴木の胸の中で……

信じられないよ……

と喜んで涙を流していた。



『やっぱり。俺だな?ハハッ…』

妙に自信があった鈴木は、ゆかりに肩をポンポンとすると……


『来週……ハワイ行くか?ゆかり…。』

と鈴木は突然提案してきたのだった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る