事件…。

ラブの嫌がるあえぎ声を聞いた鈴木は、

俊敏に行動に出ていた。

警察と顧問弁護士……


念のために小川にも連絡していた。鈴木社長が、慌てている様子を見た

秘書の小淵は、要件があったら連絡します。


とだけ伝えると……社長室から…慌てて出掛けようとする鈴木に深々と

会釈をした。


まず鈴木は、顧問弁護士に要件だけ伝えた。

『警察から聞きました。大丈夫ですか?社長?』

『早いな…彼女のマンションへ向かうから……あとで小川と合流する事になった。頼むぞ!』


白いベンツに乗り込むと…駐車場に真っ赤なフェラーリが、

ドルンドルンっと吹かしていた。小川のフェラーリだ。


白いベンツと真っ赤なフェラーリは、慌てて

マンションへの最短ルートをカーナビも見ずに、走らせていた。


鈴木はラブに、まさか…こんな事態になろうとは……悔しさでハンドル操作も途中…

誤りかけた。鈴木は込み上げる怒りを…

歯を食い縛り…耐えていた。


白いベンツは本気の走りを見せる…それに真っ赤なフェラーリも続く。


幸い車も混んではいなくラブのマンションに、

10分ほどで着けた。


鈴木が案内すると…小川もフェラーリを止め…

既に警察の手が回っていた所を確認すると…

鈴木は、『関係者です。』と警察官と要所要所の話を手短に答えた。


小川は鈴木の代わりに…警察官と話をしながら、対応に追われていた。


マンションの部屋へ向かう途中……エレベーターのボタンを鈴木は何度も押した。ついには…

拳に怒りを込め……ダーンっ!と大きな音が響いた。

ようやく着いたエレベーターを足早に後にし鈴木は走った。


途中…住民とすれ違ったが…鈴木は気にも止めなかった。


『ラブ………!!』

部屋の中では……変わり果てた姿のラブが、

警察官に事情を聞かれていたのだが……


ラブは涙を流して……

『怖かった。怖かった。私、嫌だって言ったら…………』

警察官がラブの両手首と首に残ったアザにも…

目を通して慎重に調べていた。 警察官が鈴木の姿を見付けるなり、


鈴木にも事情を聞いていた。警察官が、


『う~ん!と…?男女間のもつれだね?要するに、まぁ、お巡りさんに任せておいて……お姉さん、相手を訴える事も出来るけど、そこら辺どうしたいかな…?』


ラブは涙を流して……

『どうしたら、良いのか?………分からない』


鈴木が割って入ると……警察官は、安堵な表情を見せた。

『弁護士を彼女につけます』鈴木がハッキリと……そして力強く説明をし出した。


じゃあ、見つけ次第、彼を逮捕するからね?

今は他の、警官が探しているから……入り口にも警備をつけますので……ご安心下さい。


との会話にも…鈴木が心配して…割って会話に入った。…そして、警官に説明をし出した。

彼女をこんな危ない所には…置いておけない!


俺の昔買った、使ってないマンションに一時的に避難させます。

彼女との結婚も……真剣に考えて要るので……


鈴木は、テキパキと小淵に内密事項と要点を話して…マンションの管理人に部屋を準備しておいてくれ、とだけ伝えた。


小淵は、『社長、いつお戻りですか?○○商事の会長との会食が、控えてますが?……』


『5分。遅れていく。』とだけ伝えて、鈴木はスマホを切った。

続けて小川からも連絡が入り…鈴木が出ると…


『後は任せておいてくれないか?会長と会食だろ?彼女の事も無事に届けるから…。』

『すまんな…。』

小川が会話がすむと……ラブを一階で待っていた。

ラブが恐る恐る社長を見ると……

消え入る様な声を絞りだし…ごめんなさい!と


何度も謝っていた。鈴木はラブに近付くと……

優しく包み込み…


『悪かった。怖かったな……もう大丈夫だ。よしよし。』


ラブの手を引くと同時に鈴木は自分のスーツの

ジャケットをラブの上にかけた。

優しく引き寄せて、鈴木はラブがヨロヨロと…

はかなげに歩いている足取りに合わせ、


一歩……また一歩と…

歩いていた。


ラブはいつしか、



鈴木とバージンロードを歩いているかの錯覚に……


おちいっていた。

ラブを安心させようと…鈴木は、友人の小川を、紹介した。


涙目のラブを見るなり、小川も辛そうな顔をしていたのだった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る