お互いの気持ち…。

鈴木が、合図を送ると…ボーイが二人の前にやって来た。

『チェックして…。』と鈴木は、わざとカードを出した。


ラブには…分からなかったのだが…鈴木から…

奥さんに対する…別れの意味でもあった。

カードを使えば、当然、足がつく…


だが、今の鈴木社長からすると…妻かラブかを、天秤にかけたとしても……ラブとの時間に、惜しみ無く金を使いたいと思ったからだ。


鈴木は、確かに今まで……妻と上手くいかないのは、仕事人間プラス仕事上の付き合いが……と、言いつつ……

鈴木と違う香水の香りが、まるで妻に対する意見でも…有るかの様に、

ベンツの中にピアスが、わざとらしく落ちていた時もあり……


妻は妻で……鈴木の事を『子供が可哀想だわ。』と責めつつ、自分はホスト達と、遊び回っていたのだ。

鈴木は、ホスト遊びを止める事もなく……

逆に落ち着いていた。


(ようやく……自由になれるんだな?俺も俺なら、アイツもアイツだ…?)


鈴木の経営者仲間の小川に…妻の素行を話し出すと、小川は大爆笑しだした。

『やっぱり!お前らしい破綻の仕方な……?どうせそうなる運命なんだよ?俺ら経営者ってーのはさ?ハハッ!』


小川はタバコに火を着け、ひと息着くと……

『俺ら、そう言えば……恋愛してねーな?なっ!』そうだな?とラブと出逢う前の鈴木は、

退屈で刺激の無い、毎日に…いつか、自由を手に入れてみたいな~?


と淡い想いを抱いていた。


そんな想いを抱きつつ、ラブが入店初日に鈴木が客でやって来ていた。

鈴木は一目惚れに近い感情をラブに抱いていた。


ラブがピュアな部分も…持ち合わせた、魔性の女である事も…鈴木の

経験から来るもので…ヤケドをするな?この女……と鈴木は妻の手前いつも仲間内と…ラブを茶化しに店へ出入りしていた。


ラブが、店で成長すればする程…鈴木はラブが、遠い存在に思えて仕方がなかった。


ラブとの間を埋めようとすれば、する程に……

鈴木社長は、経営者として、また既婚者として……


どんどんキレイになっていくラブを…

本気で惚れている…と…鈴木は、嫌と言うほど思い知らされたのだった。


『社長…………?あのパスタ……カニの様な味がしたけど、一体なに?』


鈴木は我に帰り…ラブの質問に答えた。


『カニのタマゴをクリーム状にしたヤツを牡丹ウニと合わせてあるんだ。俺の好物と嫌いなモノが混ぜてあるんだぜ?ハハッ!俺ガキみて~だろ?好き嫌い無くせだとさ。全く……良い歳こいたジジイのクセにな?(笑)ハハッ!』


『………?ジジイ?社長、私の前では……聞きたくないな?その台詞…。歳が離れてる事が、気になっちゃうわっ。』


鈴木はラブの意外な反応に驚いていた。


それから、わざとらしく鈴木社長は


『さーぁ!ジジイは、もう一回……ラブと愛し合わなきゃな?ハハッ』

と鈴木は背伸びをした。


『んもー!ちゃんと聞いてってば~!』

鈴木は笑いながら、ラブにウインクした。



『悪い、悪い……可愛いな?お前、まぁ!あっちの味も可愛らしいけどな?……』


ラブは途端に顔を真っ赤にして……

その夜……二人の時間になると、ベッドの上で…じゃれあう様に、

体を重ねた。


ラブは、明日の事を考えていた。


和希とは、終わったんだ。

鈴木は鈴木で……ラブに腕まくらをしながら、


妻に対して…別居同然なのだが…

妻に慰謝料を払うつもりで…ラブとの未来を

思案していた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る