二人の時間…。

鈴木社長にエスコートされ、一階のラウンジに

着くなり、ラブは首をかしげた。

『?ディナーって…ふふっ…ラウンジじゃん!』


カクテルを呑みに来た訳じゃないのよ?ふふっ💖と…ラブは笑っていた。


鈴木社長は、ここに有る…特別な時しか

食べないメニューなんだよな?ハハッ、

少しだけ自慢気に……

『俺だけのメニューなんだぜ?お前良かったな~?』

と鈴木社長はラブの頭をくしゃくしゃっとした。


『あー!んもーまたなの?髪型決まんなくなるじゃん!せっかくの時に……(笑)』

ラブが髪を整えようとした時に…鈴木社長は、

ボソッと独り言の様に……


『また……後で崩すしな?クスクス…。』

社長は含み笑いをしだした。ラブが、余りにも……店では見せない可愛らしい一面が見られ、鈴木社長はご機嫌だった。


鈴木が来ると…ラウンジの空気も一変する…。

途端にムーディーな生演奏が始まるのだ。


ラブが聞いていて心地の良い音楽だった。

(社長の食べ物の趣味……そう言えば、知らないわ。……)


10分ほど経過する頃には…二人の前に

鈴木社長の為の、特別メニューなるモノが運ばれてきた。

ボーイは、ラブに会釈をした。ラブは疑問に思った。


特別メニュー…。って事は……奥様も?

でも雰囲気の良いラウンジでは…ラブが野暮な

質問をしても……

きっと、鈴木は笑顔で…答えるだろう。


『お前だけだ。』と……

ラブには、分かりきっていた。

『これが、ウマイんだよな?クスクス……お前食べるだろ?ラブ……。』


ラブは、雰囲気に酔いしれていると…鈴木の方を向いた。


『え………?私?』

少々ラブは、雰囲気に呑まれ過ぎた様子で……


目の前のパスタに視線を移した。


『?これが、特別メニュー……へ?』ラブは一度拍子抜けした声をあげ…鈴木社長へと目くばせした。


鈴木社長はラブと目が合うと…

『いいから……』と…

手のひらを『どうぞ、』とジェスチャーしていた。


ラブが、スプーンとフォークを持ち……

クルクルっとひと口に、おさまるであろう大きさにパスタを巻き終え、

口に運んだ。


ラブは驚いて……社長の方を向き親指を立てながら、

『ナイス……!』

という意味も込めて…。ラブが余りにも…美味しそうに喜んで

食事をしていたので……

鈴木は、ラブの注意をこちらに向け…

ジェスチャーをした。


鈴木は、カクテルを呑みながら……頬杖を付き…ラブに『あーん!』と…


甘えてきた。ラブが

『?』ふふっ💖と食べさせてあげようとした時……


鈴木はラブの華奢な手首を掴んで指を絡ませ始めた。 ラブが……

『後で……!』クスクス……と社長に注意をすると、鈴木社長は


いきなり顔が真顔になった。

『なんか……お前、良い女だよな?クスクス…』


余りにも社長が、可笑しい言動をするので…

『どしたの?私(笑)

うん!良く言われるぅ!』とふざけた返答をしつつ、


『なんか…ムカつく……お前、女の武器……使いまくってんな?ハハッ』


社長はラブに合わせ、

『俺も…実はモテるんだよなー。(笑)お前は知らないだろうけど、なっ?』


鈴木社長がラブの顔を……覗き込み、左手の薬指に指輪をはめた。


途端にラブは沈黙してしまった。

鈴木社長が心配して…ラブを覗き込むと、


『社長?私……幸せ過ぎて……ちょっと怖いな…。』


鈴木は隣に座るラブの方へと向きを変えると……


『心配すんな、守ってやるから……。』

鈴木社長の厚い胸板に、


ラブは顔を

うずめて……小さくうなずいていた。

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