クラスの女子がべったり甘々に迫ってくるんだけど、俺には迫られたら困る事情があるから全力で拒否します ~みんなはオタク女子だと思っているけど、実はめちゃくちゃ美少女でした
第1話:御堂くん……見てしまったのですか?
クラスの女子がべったり甘々に迫ってくるんだけど、俺には迫られたら困る事情があるから全力で拒否します ~みんなはオタク女子だと思っているけど、実はめちゃくちゃ美少女でした
波瀾 紡
第1話:御堂くん……見てしまったのですか?
10月も中頃のことだった。
「え? ……えええぇぇぇ!? あの、真面目な女の子が……」
俺が偶然目にした文章。
それは衝撃的だった。
「こんなエッチな小説書いてるのか? 嘘だろ?」
そこには男女がエッチなことする小説の描写があった。
その文章を書いたのは──高校で同じクラスの
彼女は真面目が制服着てるような女の子だ。
教室で見る彼女は大人しくて地味。
エッチなことには最も縁遠いイメージの子。
あ、でも胸は大きいな。
そんな真面目っ子(巨乳)がエロい小説を書いてるというギャップが俺の脳を揺さぶる。
覗き見るつもりなんかなかったんだよ。
堅田がトイレに立って、厨房からテーブルの上を見たら、水のグラスが空っぽになってた。だから俺は、水を注ぎに彼女のテーブルに来た。
たまたまテーブル上のノートパソコンをふと見たら、文字の方から勝手に俺の目に飛び込んできただけだ。
ここは俺の母親が経営してるカフェ。
日曜日の夕方は母が買い物に出てる間、いつも俺が手伝いに来てる。
何も話さずにいつもカタカタとノートパソコンで小説を執筆してる文学少女だ。
クラスメイトとは言え、入学して半年経った今でも学校ではほとんど接点はない。
何か月か前に偶然ウチの店に来て、それから静かなこの店が気に入ったのか、毎週来るようになった。
だけど彼女の執筆を邪魔したらいけないって思って、今までほとんど言葉を交わしたことがなかった。
俺が呆然と堅田のノーパソを見つめていたら、いきなり後ろから女子の震える声が聞こえた。
「
「ふぎゃっ!」
やば。いきなり名前を呼ばれて、心臓が壊れるくらいドキっとした。
無意識に変な声が出ちまったぞ。
おそるおそる振り返る。
そこには今にも泣きそうな堅田の顔があった。
キチッと結んだポニテの黒髪ストレートに白い百合の髪飾り。確か
それにダサめの黒ブチ眼鏡、清楚な白のワンピース。
絵に描いたような真面目女子。
普段学校ではなんの感情も持たずに見てたこの顔。
あんなエッチなことを考えてるのだと知ってから見ると、ちょっと人には言えない汚れた感情が心の中で渦巻く。
「いや、あの……」
俺は画面をガン見してた。
ここは正直に言うしかない、
「うん。見た」
「あの……感想は?」
いや、ここで感想聞くん!?
何を言ったらいいんだよ?
いや落ち着け、俺。
俺は『ツッコミの
「いや、これ……すっげえエロいなぁ。ホントに堅田が書いたのっ? まさにエロスの宝石箱だよっ!」
堅田が青い顔してフリーズしてる。唇が震えてるよ。
やっべぇ。今の状況があまりに衝撃的すぎたせいで、言葉のチョイスを間違えた気がする。
そうじゃない。
変におちゃらけにするよりも、どうってことないんだって態度の方がいいかも。
「あ、そうだ。
「いえ、決してエッチなことに興味があるわけじゃありません!」
堅田がずいッと一歩踏み出して、俺に詰め寄る。必死な顔は真っ赤っかだ。
俺の方も恥ずかしくなって目を落とした。清楚な白いワンピースの豊かな胸の膨らみが目に飛び込んできた。
そう言えばクラスの男子が言ってた。
──堅田さんって性格は清楚で控えめで自己主張はしないタイプだけど、その凶悪な胸は自己主張が激しい。
まさに凶悪な凶器を突きつけられた気がして、俺は思わず後ずさった。
どう対応したらいいのかわからなくって、頭がくらくらする。
しかし堅田は、また一歩前に出て真面目な顔で語る。
「エロスというのはリビドーの発散であり、ホモサピエンスとしての人間の存在を証明する……」
んんん……なんか難しいこと言ってるけど……
「要は堅田はエッチなんだよねっ?」
しまった。
巨乳という凶器で追い詰められたせいで、女子に言うにはあまりにストレートなツッコミをしてしまった。
「ほわいえっ! あ、いえ。あくまで妄想……いえ創作です!」
ほわいえってびっくり声、変すぎるだろ。
でもあわあわして可愛い。
ところで今『妄想』って言ったよな?
間違いなく言ったよな?
やっぱ堅田って真面目に見えて変態なのか!?
こんなに真面目そうな女の子が?
創作だなんて言ったけど、それは誤魔化しじゃないのか。
「ホントかよ?」
「じゃあ御堂君は、異世界ファンタジー小説を書いてる作者は、みんな勇者の心を持っているとおっしゃるのですね!」
いや、論点ズレてますけど。
ここは変にツッコまずにスルー推奨。
「む……ムキになるなよ。わかった。あくまで創作なんだよな。創作として、エロが書きたいだけだと」
「あ、いえ。実はですね……」
俺の言葉に我に返ったみたいで、堅田は急に困ったような顔をした。
むむむ……なにか事情がありそうだ。
どうしたんだろうか?
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